・wikipediaより
ジアゼパム (Diazepam) はベンゾジアゼピン系抗不安薬、抗けいれん薬、鎮静薬である[1][2]。
日本国外では代表的な睡眠薬でもあり、(骨格)筋弛緩作用もある[3]。化学的には1,4-ベンゾジアゼピン誘導体で、1950年代にレオ・スターンバックによって合成された。ジアゼパムは、広く用いられる標準的なベンゾジアゼピンのひとつで、世界保健機関 (WHO) もその「エッセンシャルドラッグ」リストにジアゼパムを掲載している[4][5]。
日本での代替医薬品でない商品名として「セルシン」、「ホリゾン」があり、ほか、各種後発医薬品が利用可能である[6]。
アメリカ合衆国での商品名としてValium、Seduxenなどがある。
概要 [編集]
ジアゼパムは母体となるベンゾジアゼピンの開発者でもあるレオ・スターンバックによって1950年代に開発された。
スターンバックはこの功績により2005年、アメリカ発明者栄誉殿堂に加えられている。
ジアゼパムのCAS登録番号は439-14-5であり、IUPAC命名法では 7-chloro-1,3-dihydro-1-methyl-5-phenyl-2H-1,4-benzodiazepin-2-one となる。天然においても、ジャガイモやエストラゴンにはごく微量のジアゼパムやテマゼパム (Temazepam) が含まれている[7][8]。
アメリカ合衆国で1961年にジアゼパムが臨床応用されると、直ちに過量摂取による死亡事故が後を絶たなかったバルビツール系抗不安薬に対する最良の代替物であることがわかった。
ジアゼパムはバルビツールのように明らかな副作用を示さなかったので、すぐに慢性の不安に対する処方として普及した。
1962年から1982年までのアメリカで、最も売れた薬剤はジアゼパムである。
ジアゼパムは不安障害や興奮の治療に用いられる。
また、有痛性筋痙攣(いわゆる「こむらがえり」)などの筋痙攣の治療にはベンゾジアゼピン類の中でもっとも有用であるとされている。
鎮静作用を生かし手術などの前処置(いわゆるプレメジ)、そしてアルコールや麻薬(オピオイド)による離脱症状の治療にも用いられる。
変わったところでは、軍事的ないしそれに類する狙撃手によって、筋弛緩作用と呼吸をゆるやかにする作用から命中率を高めるために用いられることもある。
現在ではかつてのようにジアゼパムには副作用が無いとは考えられなくなっている。
薬物乱用のリスクが認識され、アメリカでのジアゼパムの使用量は1980から1990年代の間にほぼ半減した。
一方ですでに古典的な薬物であるジアゼパムは、近年でも一部の錐体外路疾患の補助療法、小児の不安の治療、そして痙性麻痺の補助療法などに適応を広げつつある。