・難病情報センターより
1. 結節性硬化症(プリングル病)とは
結節性硬化症はプリングル病とも呼ばれます。
全身に過誤腫とよばれる良性の腫瘍ができる病気です。
皮膚と神経系に異常がみられ、皮膚の症状があざの様に斑状に出る(母斑)ことから、神経皮膚症候群あるいは母斑症というグループに入れられています。古くは、頬の赤みを帯びた数ミリの盛り上がったニキビ様のもの(顔面血管線維腫)、てんかん、知的障害の3つの症状(3主徴)がそろうとこの病気と診断してきましたが、診断技術の進歩に伴い、知的障害や、痙攣発作のない軽傷例も多数みつかるようになってきました。
それに伴い、全身のいろいろな症状で診断されることも多くなっています。
新生児期に心臓の腫瘍、不整脈をおこすことがあること、乳児期に痙攣発作をおこすことがあること、知的障害を合併する人があること、学童期から目立ってくる顔の線維腫がひどい人があること、10歳前後に脳腫瘍を合併することがあること、成人になって腎臓の腫瘍が大きくなり、出血や圧迫症状が出ることなどが病院を受診するきっかけになります。
2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
どのような人に多いのですか
結節性硬化症はどの様な民族、人種にもみられます。
厚生省特定疾患調査研究班「神経皮膚症候群」研究班の調査では、ある地域で診断された患者さんの頻度は少なくとも地域人口1万人に1人で、日本の大きい病院で診断される患者さんを調査した結果もあわせると、日本人全体で少なくとも1万2千人~1万5千人はいると考えられています。
少なくとも人口1万人に1人という頻度は、アメリカ人での調査でもほぼ同じになっています。
ある地域での調査の場合も、全国の大きな病院を対象とした調査でも、小児期に診断される患者さんが一番多く、小児科で診断される頻度が最も高くなっています。
ついで皮膚科、精神科、神経内科、泌尿器科などで診断される患者さんが多くなっています。
小児科で診断される場合の多くは、痙攣発作や知的発達の遅れをともなっており、重症心身障害児施設や知的障害児の施設に入所・通園する子どもの中にも本症の患者が比較的多くみられます。
一方皮膚科に来られる患者さんには、痙攣発作や精神発達遅滞のない人がたくさんおられます。
しかも、検査方法や技術の進歩に伴い、こうした軽症の患者さんの割合が増加してきています。