・製剤出荷量の多い県でミツバチ被害?
農薬要覧によれば、ネオニコチノイド系農薬の原体生産量としては、アセタミプリドが最も多く272.8トン(2007年)だが、その約6割は中国などに輸出されている。
そして原体を含む製剤として国内に出荷されている製剤生産量は、アセタミプリド製剤(約550トン)、イミダクロプリド製剤(約1100トン)、クロチアニジン製剤(約2900トン)、フィプロニル製剤※(約820トン)であり、クロチアニジン製剤は2002年に農薬登録された翌年はわずか1000トン余りだったが、5年間で約3倍も国内に出荷されるようになった。
2003年に岩手県で、近隣の農家でカメムシ防除のためにダントツ(有効成分名:クロチアニジン)を農薬散布した直後にミツバチ被害が発生したといわれている。
ネオニコ農薬の各地への出荷量とミツバチ大量死との関連は簡単には明らかにできないが、少なくとも、この岩手県の例や北海道では、クロチアニジン
の農薬散布との関連は濃厚とされている。
下表に示したように、2008年度のクロチアニジンの都道府県別の製剤出荷量で上位5位の県は、北海道、岩手県、宮城県、茨城県、千葉県であり、後の表に見られるように、いずれの県でもミツバチの大量消滅、あるいは、不足の事態を招いている。
※浸透性農薬、殺虫剤フィプロニルとは、
フランスでは、ネオニコチノイド系農薬イミダクロプリドとともにミツバチ大量死の原因とされ、2004年に販売禁止となった。フィプロニルもネオニコチノイドも共に浸透性農薬で植物内部に浸透する。
神経伝達物質GABA受容体に結合しその働きを阻害する。
日本では1996年に農薬登録。稲の育苗箱施用、土壌処理剤、ゴキブリなどの家庭用殺虫剤、犬猫のノミ、ダニ駆除用のフロントライン(商品名)として使用されている。新しい種類の殺虫剤で、主な商品名はプリンスフロアブル。毒性としては、水生生物に対して非常に強い毒性があり、国際化学物質安全性カード(WHO/IPCS/ILO)によれば、短期暴露の影響として、中枢神経に影響をあたえ神経過敏、痙攣などが生じることがある。
環境に有害な場合があり、鳥類、ミツバチへの影響にはとくに注意することが必要である。