◆病気そのものから徹底的に説明
診断書とともに「病歴状況申立書」を提出します。
これは申請者が審査する側に自身の状態を直接訴える唯一の書類です。
この女性の場合、申立書には詳細な補足書面を約20枚添付しました。障害年金支給を認定する認定医が化学物質過敏症という病気自体を知らないおそれもあるため、この病気の説明をはじめ、本人の状況について、現時点での生活や労働が著しく困難であることや、今後悪化させないために必要な日常生活の制限についても、徹底的に説明しました。
以上の書面を作ることは、簡単ではありませんでした。
本人は化学物質過敏症に加え電磁波過敏症の症状も重く、人と会ったり電話で話をすることはできないため、小宮さんが書面作成に必要な情報を本人から得ることは困難でした。
そのため介護している母親を介して電話で話を聞きました。
それも、長時間の通話は本人に影響する恐れがあるため、短時間で済ます必要がありました。
小宮さんはそれまで過敏症についての知識は皆無でしたから、その病態は想像を絶しており、あまりに現実離れしていると感じられ、簡単には理解できませんでした。
そのため、支障が生じている具体的な出来事をリアルな表現で記載してもらうなど、本人も家族も書面作成に懸命に協力し、時間をかけて工夫しながら粘り強く取り組んだとのことです。
化学物質過敏症で苦しんでいる人は大勢いますが、全国で3例しか認められていないことについて、小宮さんは「認定医が化学物質過敏症を知らず申請者の状況が想像しずらかったことや、日常生活や労働の制限を受けていることがわかる内容が記載された診断書や補足書面を、申請者側が用意できなかったことなどが考えられる」とおっしゃっていました。
逆に言えば、今回の女性が成功した理由は、社労士というプロの手を借りることにより、上記の申請者側の課題をクリアできたことが挙げられるでしょう。また、京都、横浜での先行事例に係わった社労士も障害年金支援ネットワークの会員であるとのことで、必要で適切なアドバイスを受けられる態勢のもとで申請手続きを進めたことも、大きなポイントだったと思います。
◎NPO法人障害年金支援ネットワークの連絡先:
無料相談0120-956-119土日祝日を除く、
10~12時・13~16時、固定電話からのみ相談可)。
runより:現在は化学物質過敏症でも障害者認定されやすくなってます。
やはり国が病気として認めた事が大きいですね。