横浜国立大学の研究より | 化学物質過敏症 runのブログ

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・論文「本態性環境非寛容症(化学物質過敏症)有訴者の基本的特徴及び発症原因」
糸山景子、亀屋隆志、浦野紘平
 本症の有訴者の中には、社会的、医療的理解が得られず、失職、経済的困難、対人関係で孤立、適切な治療の欠如等、苦痛を強いられている者もいる。
被害の低減や治療体制の拡充を進めるには医学的調査研究に加え、被害原因の明確化と有訴者の実態把握が必要である。

しかし、医師の診断の有無などの有訴者の実態に関する報告例は少ない。

そこで、本研究者らは、2003年9月にNPO法人化学物質過敏症支援センターに登録していた有訴者488名に同法人からアンケート調査票を郵送する方法で有訴者の特徴や発症原因等の情報を整理することを目的とした。回答は278名(回収率57.0%)から得られたものである。
対照者(横浜国立大学の学務部と生協の職員、筆者らの研究室の職員、学生の家族、知人等で本症を訴えていない人の中から無造作に有訴者の発症時点の性・年齢構成と近くなる人)を選び、279名に調査票を配布した。

回答は165名(回答率59.1%)から得られた。

1) 調査項目                                                

  
   1 有訴者の性・年齢・被害年数
   2 有訴者が発症前に本症について知っていた知識の程度
   3 アレルギー症状の有無
   4 ライフスタイルの良くないところ、自宅内の禁煙環境、飲酒状況
   5 本症と診断した時の医師による診断の有無
   6 有訴者が考えている発症原因
   7 有訴者が行った改善のための工夫とその改善度

(2) 解析方法                                                
   
   1 医師による診断の有無別の比較
   2 有訴者全体と対照者との比較
   3 有訴者の存在地域と本症の診断を受けた病院・診療所の所在地域との関係
   4 発症原因と被害年数の関係

(3)研究結果                                                
   
   1 医師による診断の有無と診断地域の関係(居住地域の指定された229人)
①本症を診断する病院のある11都道府県在住有訴者115人中、
→ 医師の診断を受けた69人(60.0%)
②本症を診断する病院のない府県在住114人中、     

→ 医師の診断を受けた53人(46.5%)
③関東在住有訴者115人中、                 

→ 診断を受けた有訴者68人(59.1%) 

④関東以外に居住する有訴者114人中、          

→ 診断を受けた有訴者54人(47.4%)
有訴者114人中、32人(28.1%)が居住地以外の地域の病院で診断を受けた