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ジクロロメタン (dichloromethane) は、分子式を CH2Cl2 と表される、有機溶媒の一種。慣用名は塩化メチレンといい、産業界ではこちらの名称を使うことも多い。DCM 、または俗に「えんめち」、「めちくろ」、「えんかめ」、「じくろめ」、「じくろろ」などと略される場合がある。
常温では無色で、強く甘い芳香をもつ液体。非常に多くの種類の有機化合物を溶解する。また難燃性の有機化合物であることから、広範囲で溶媒や溶剤として利用されている。特に金属機械の油脂を洗浄する用途で多用されているが、環境負荷とヒトへの毒性の懸念からPRTR法により利用と廃棄が監視される物質でもある。
用途 [編集]
ジクロロメタンは多くの有機化合物を溶解し、水と混ざらず、沸点が低いなどの条件を備えているため、有機化学においてはクロロホルムと並んで利用される溶媒である。酸性条件に対して安定であるため、フリーデル・クラフツ反応などルイス酸を用いる反応、酸塩化物を用いるアシル化反応、スワン酸化などの酸化反応に常用される。有機合成の溶媒として用いる場合、通常の反応にはモレキュラーシーブスなどで脱水する程度で十分な結果が得られる。精密な実験の場合は塩化カルシウムなどを乾燥剤として蒸留精製する。ナトリウムは反応し爆発の危険があるため乾燥剤に用いてはならない。
工業的にはオゾン層破壊問題で一部のフロン類が製造禁止になって以来、金属機器の洗浄剤の代替物質としてジクロロメタンは金属加工業を中心に大量に利用されている。
しかし、その生物安定性のため、一度環境に放出されるといつまでも分解されずに残存する[要出典]。したがって、現在ではPRTR法規制物質として大量使用者は購入量、廃棄量およびその差分である環境放出量の報告を義務づけられており、大気中への放出量は削減することを求められている。それに併せて、代替となる溶媒(超臨界二酸化炭素、ベンゾトリフルオライドなど)の研究も進められている。
安全性 [編集]
ヒトに対しては、皮膚または目に接触すると炎症を引き起こす場合があることが知られている。蒸気を大量に吸引すると麻酔作用を示し、中枢神経系を抑制する。慢性毒性として肝機能障害が知られている。ヒトへの発癌性は証明はされていないものの、動物実験では発癌性が示唆される IARC発がん性リスク評価で Group 2B に分類されている化合物である。
融点 -96.7 ºC (175.7 K)
沸点 40 ºC (312.8 K)