薬剤アレルギー 酒井医院HPより2 | 化学物質過敏症 runのブログ

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3.皮膚粘膜症状と主要原因薬剤

1)蕁麻疹:急性蕁麻疹症状(図1、2)に加えて、発熱、呼吸困難、胸内苦悶、腹痛、嘔吐などの全身症状を伴うことがある。注射(輸血、ワクチン、抗生物質)、サリチル酸剤、サルファ剤、ヨード剤、プロカインなど。

2)播種状紅班丘疹型(麻疹、しょう紅熱型):薬剤摂取後数日で大小の紅班、半米粒大の丘疹(図3、4)が全身に多発する。瘙痒と灼熱感を伴う。鎮痛解熱剤(ピラゾン系、サリチル酸系、ピラゾリジン系)、バルビタール系薬剤、ペニシリン、セファロスポリンなどの抗生物質。薬疹の1/3が本症で最近増加傾向がある。

3)紅皮症型(剥脱性皮膚炎):全身皮膚が潮紅、浸潤、落屑を生じ、瘙痒が強い。肝腎障害を合併すると予後が悪い。バルビタール製剤、鎮痛解熱剤、抗生物質、カルバマゼピン(テグレトール)など。

4)多型紅班型:四肢末梢、とくにその伸側に多型浸出性紅班が生じる。鎮痛解熱剤、抗生物質、カルバマゼピンなど。

5)皮膚粘膜眼症候群:多型紅班型の重症型で、高熱、全身倦怠感、関節痛、結膜炎(図5)、口唇(図6)や外陰部のびらんなどを伴い、Stevens-Johnson症候群という。

6)TEN(toxic epidermal necrolysis)型(ライエル型ともいう):高熱、全身皮膚灼熱感とともに鮮紅色の有痛性びまん性紅班が生じ、数日後に大水疱が多発し、広範囲に皮膚がむけて、あたかも熱傷のようにみえる。口腔、外陰、消化器粘膜も侵される。中毒性表皮壊死症(TEN)の原因として大部分はstaphylococcall TEN(=SSSS、新生児剥脱性皮膚炎)と薬疹であるが、その他不明なものとして自己免疫性機序が考えられている。

薬物としては鎮痛解熱剤、抗生剤、カルバマゼピン、アロプリノールなどのほか、アセトアミノフェンやアスピリンなどによっても本症が発症することが報告されている。

市販品の複合感冒薬にこれらが含まれているので気をつける必要がある。病変皮膚の組織では急性GVHDの所見に近いと言われ細胞性免疫が大きな役割を果たしている。表皮の抗原認識細胞であるランゲルハンス細胞のHLAクラスII抗原などが薬物で修飾されることにより、アロ抗原となるか、薬剤により免疫機構の破綻が起きる事などして、自己の細胞と反応し、これを傷害する活性化T細胞が誘導されるものと考えられる(GVHDについては後の述べる)。

7)紫斑型:紫斑(図7)が四肢体幹に左右対称に多発する。丘疹、紅班も混在する。血液障害、蛋白尿、関節痛、発熱などを伴うこともある。抗生物質、鎮痛解熱剤、金製剤、抗腫瘍剤など。

8)光線過敏型:日光露出部にびまん性紅班、腫脹をきたす日焼け型と、紅班、漿液丘疹など多彩な像を示す湿疹型がある。降圧利尿剤、抗精神薬、NSAID剤、テトラサイクリン、ニューキノロン系抗生物質、経口糖尿病薬など。

9)固定薬疹:皮膚粘膜移行部(口唇、口囲、外陰部)、四肢に好発する。境界明瞭な紅班で、ときに水泡、びらんを認める。瘙痒、疼痛がある。以前はピラゾン(アンチピリン)、サルファ剤、バルビツール剤が主であった。最近はこれらの薬剤の使用頻度が減少したので、NSAID剤、抗生物質によるものが多い。治癒後は色素沈着を残す。

10)薬剤過敏性症候群:ヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6)は初感染後、主に単球およびCD4陽性細胞に潜伏する。

薬剤過敏性症候群では、薬剤アレルギーによりHHV6潜伏感染細胞が活性化され、その結果HHV6が再活性化し、伝染性単核症に類似する疾患を生じるという発症機序が考えられている。

皮膚症状の出現は服薬から2~6週間後で、薬剤中止後も遷延する。発症から約2~3週間後にHHV-6の再活性化が起き、皮膚症状が再燃する。

臨床症状としては、高熱、リンパ節腫脹、全身皮膚のびまん性潮紅、浮腫、口囲の膿疱、小水疱、鱗屑など認められる。時には紅皮症に移行することもある。ウィルスの再活性化の証明には、血清中の抗体価が2週間で4倍以上に上昇するか確認する。

原因薬剤としては抗痙攣薬やサラゾスルファピリジン、アロプリノールなどに限定される。

なお、同じヘルペスウィルスに属するサイトメガロウィルスが関与することもある。