シックハウス集団訴訟が和解 大京ら3社が解決金支払い 大阪地裁
新築の分譲マンション入居後、床下建材に含まれる化学物質で「シックハウス症候群」になったとして、大阪市北区にある「ライオンズマンション」(95戸)の住民20世帯46人が、販売元の大京(東京)と建材製造元のブリヂストン(同)、施工業者の大末建設(大阪)の計3社を相手に約3億円の損害賠償を求めた訴訟が11日、大阪地裁(小久保孝雄裁判長)で和解した。3社が連帯して解決金を支払う内容で、症状と建材の因果関係については明確にされていないという。
金額は公表されていないが、原告側は「納得できる相当な金額で勝利的和解だ」と評価している。
訴状によると、原告は00年11月完成の同マンションに同月~02年1月に入居し、直後から頭痛、吐き気などを発症。
大京が02年に総戸数の約9割の室内空気を測定した結果、ほとんどの部屋で当時の厚生労働省安全指針値の約2倍にあたる化学物質「ホルムアルデヒド」が検出されたため、住民側が調停を経て04年1月に提訴していた。
原告側は、床下に設置された建材が化学物質の発生源と指摘。
「化学物質が多量に放出される建材を使えば住民に健康被害が出ると予測できた」と主張していた。
一方、被告側は「住民が持ち込んだ家具などが原因になった可能性があるほか、本件マンションはシックハウス対策が盛り込まれた改正建築基準法施行前の建築で法的責任はない」として責任を否定していた。
シックハウス被害をめぐっては、同マンション完成後の03年7月に化学物質を含む建材の使用制限や換気設備の設置などを義務づけた同改正法が施行されている。
原告側の代理人弁護士は「シックハウス被害をめぐる全国初の集団訴訟が勝利的に和解できたのは画期的。同様の問題の予防や健康被害の救済が進むことを期待している」と話した。
大京グループ広報部の話 今回と同じ建材は他の建物でも多数使われているが、ほかに訴えられた例はない。
だが、すでに審理に2年半を費やしており、長期化は双方に望ましくないことなどから和解に応じた
2006年09月11日朝日新聞