加恋は雪国生まれの雪国育ち。

純粋培養です。

だから

クリスマスツリーと紅葉が同じ時期に見られるっていうのは

なんだかとっても、不思議な感じ。

故郷では

雪が降って、

木々が裸になって、

そこでやっとツリーが出てくるから。

雪の降る気配も薄いこの場所で

ツリーを見るのはやっぱり、慣れない。

そして

“あぁ、私は今までと違う場所にいるんだ”って実感する。



東京に来て2年目の冬がやってくる。

1年前に一緒にいたひとが、いない。

1年前は一緒にいなかったひとと、いる。

1年前に考えていたことが、遠い過去のことになって。

1年前には思いつきもしなかったことを、考えている。

並木は今年も綺麗に色づいたけれど

1年前のそれとは全く違うもの。

―何もかもが違う。

加恋が、“加恋”である

そのこと以外は。


それですら危うい。