「気持ち悪いんです、これ」 農水相、ジャンボタニシの放し飼いで注意喚起 イネに被害

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稲の苗を食い荒らすジャンボタニシ。長い触角が特徴(農林水産省提供)

イネの苗を食い荒らすジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)を巡り、農林水産省が放し飼いを止めるよう注意喚起を強めている。2月下旬からSNS上でジャンボタニシを除草目的で放し飼いを推奨するような投稿が出回ったことを受けての対応で、坂本哲志農水相は12日の閣議後会見で「私の地元にも20年ほど前に(ジャンボタニシが)侵入したが、気持ち悪いんです、これは」と嫌悪する一幕も。「除草目的でも周囲に悪影響を及ぼすので、放さないように」と呼び掛けた。 【写真】イチゴのような鮮やかなピンク色をしているジャンボタニシの卵 

■参政党の一部党員が推奨で炎上 

田んぼへのジャンボタニシの放し飼いを巡っては、農業を営む参政党の一部党員がSNSでジャンボタニシを用いた様子や農法を推奨するような内容を投稿。この投稿がXで今年2月末ごろから拡散され、問題視する指摘や利用を推奨する反論が飛び交い、炎上状態となっていた。 こうした状況を受け、農水省は3月6日に「ジャンボタニシ放飼は止めてください!」とのタイトルで公式Xに投稿。「一度侵入・まん延すると根絶は困難です。地域全体でまん延を防止しましょう」と指摘し、ジャンボタニシ被害防止対策に関するページのリンクを紹介して対応を急いだ。 また、3月9日には参政党も公式HPで、「党としてジャンボタニシ農法を推奨しているわけではない」と説明し、誤解を招いた発信について訂正した。 ■イチゴのような卵は「有毒」 ジャンボタニシは南米原産の巻貝で、大きいものでは殻の高さが8センチ程度に成長する。雑食性で長い触角が特徴。1981年に食用目的で台湾から輸入され、当時は「田んぼのエスカルゴ」と呼ばれた。80年代後半には全国約500カ所で養殖されたが、「身が固い」「泥臭い」などの理由で消費は減退。放置されたりした個体が水田や水路で繁殖したとされる。 冬場は、深さ6センチまでの地中に潜む。水温が17度を超えると活動を始め、年間約3000個以上の卵を産む。寿命は3年程度。国の生態系被害防止外来種リストで、84年には有害動物に指定され、輸入が禁止された。 近年の温暖化で生息域は拡大しており、農水省の昨年度の調査では35府県でジャンボタニシによる被害が確認されたという。見つけた際には、薬剤散布や田んぼを水上げして乾燥させ、耕運することで土中にいる個体を駆除する方法などを紹介している。

卵は鮮やかなピンク色で、イチゴのような見た目が大きな特徴だ。6月下旬から9月下旬に農業用水路のコンクリート壁などにびっしりと産みつけられる。卵にはPV2という神経毒が含まれており、誤って素手で触った場合はすぐに手を洗うよう呼び掛けている。

また、一部ではジャンボタニシを有効活用しようと料理の食材として活用する動きもあるが、農水省は「食用とする場合は、寄生虫に感染するおそれがあるため絶対に生食はしないように」と注意喚起している。