1ドル=100円台 円安テコに経済再生を急げ(5月11日付・読売社説)
1ドル=100円の直前で一進一退の攻防が続いていた円相場が、約4年ぶりに100円台に下落した。対ユーロでも約130円の円安・ユーロ高水準で推移している。
超円高の是正は、デフレからの脱却に追い風となる。好機を生かし、政府と日銀は経済再生を急がなければならない。
米国の雇用指標が改善し、米景気の回復期待で、ドル買い・円売りが強まったことが、100円突破の直接の引き金となった。
安倍首相の経済政策「アベノミクス」と、黒田東彦日銀総裁の大胆な金融緩和が奏功し、半年前に80円前後だった円相場は、大きく円安に振れていた。
円安を好感し、東京市場の平均株価は約5年ぶりに1万4000円台を回復した。ニューヨーク市場の株価も、初めて1万5000ドル台に上昇した。日米の株価急騰で、経済に明るさが広がってきたのは心強い。
円安をテコに、自動車など日本の輸出企業は国際競争力が向上し、収益が拡大している。
外需主導で生産や設備投資が活発化すれば、雇用は改善し、消費など内需にも恩恵が波及しよう。こうした好循環による、本格的な景気回復に期待したい。
ただし、円安がさらに加速した場合は、副作用への注意も怠れない。まず、円の独歩安に対する海外の批判が懸念される。
4月の主要20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、日銀の大胆な金融緩和はデフレ脱却が目的で円安誘導ではないとの説明に、一定の理解は得られた。
英国で10日に始まった先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議でも、デフレ克服に向けた日本の政策運営について、丁寧に説明する必要がある。
G7各国が、過度な為替変動は望ましくないとの認識を再確認することも重要だ。
急激な円安は、輸入原料や製品の価格を上昇させ、輸入品に頼る企業の利益を圧迫する。企業努力で吸収できない分は、値上げせざるを得ない。
実際に小麦粉や食用油などの値上げが相次いでいる。火力発電向けの輸入燃料も高騰し、電力各社は電気料金を次々に値上げしている。企業にも家計にも痛手だ。
コスト高が原因の物価上昇だけでは企業業績は低迷し、賃金も増えない。かえって成長戦略の足かせとなろう。円安を生かして需要を拡大し、持続的な成長を実現することが求められる。
(2013年5月11日01時20分 読売新聞)
さて・・・そうだろうか

ちょっと 動きが早すぎる
今回の円安100円突破は、「アベノミクス効果で円安」ではナイのではないか

日本から見ると「円安」だが、アメリカ、そして世界の市場関係者にとっては、
常に基軸通貨のドルが基本だ。円は、数ある通貨のなかの一つに過ぎない。
その円がドルに対して安くなろうと、大した問題ではない。
100円の抵抗ラインをあっさり突破したことで、まるで、
これで景気が回復するかのような騒ぎになっているが為替だけで、
日本経済が復活するなどということがありえるわけがないと思う。
この先、輸入インフレで物価が予想以上に上がってきたら、
どうなるかまったく予測できなくなってしまった。
100円を超える円安で、輸出企業を中心に業績が改善し、
日本経済復活を強力に後押ししそうだな一面もあるのだけれど
対外的に、現に現代自動車が“失速”している。
韓国国内ではトヨタ自動車など輸入車が存在感を増し始め、
その牙城が揺らぐ。
販売面以外でも、米国では燃費表示の水増しが発覚したほか、
大規模リコール(無償回収・修理)を実施。
サムスン電子と並び韓国経済を代表する現代自動車だが、
ウォン高が進むにつれて糊塗(こと)された実力以上の販売力、技術力が
はげ落ちかけている。
中国も同じだ・・・
しかし これ以上急激な円安が進めば副作用が出る可能性が



流動性の高い通貨供給でインフレが誘発されるだろう。金利は押し上げられ、
持続不可能なレベルに陥没の恐れがある

通貨安により価値が下がるため円からのキャピタルフライトが起る
確率はかなりの高いレベルで副作用として口を開けている
日本経済の復活は、あくまで実体経済、企業の生産性の向上、
画期的なイノベーション、売れる商品の開発などにかかっている。
円のポジションを1ドル=100円から105円前後に維持しなければならない
でないと日本国債の暴落の可能性もあると思う。