まずはこの動画を見ていただきましょう。




次は
ニュース記事
を見をみてみましょう。

要約するとこういうことです。

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ベンチに居る7番の選手
 ↓
犬が試合場に乱入
 ↓
7番の選手、犬をピッチから出すため首を掴んでフェンスの外
めがけて犬を投げる
 ↓
犬フェンスに当たり、ピッチに戻る
 ↓
一発レッドカードで退場
 ↓
チームを解雇
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う~ん、悲しい末路ですね。

犬を外に出そうという心意気は良かったのですが、その手法が悪かったですね。
■首を掴む
■結果的にフェンスに投げつけた形になる
という2点が、なんとも悪印象になりました。

さて、ここで疑問に思った方はいないでしょうか?

■疑問1
「ピッチにいた11人ではなく、ベンチに退いた選手にも、
 レッドカードは適用されるの?」

■疑問2
「人に乱暴な行為をしたら退場は妥当だけど、
 動物に行った乱暴行為でも、退場が当てはまるものなの?」


はい、非常にいい質問ですね。

アルゼンチンで起こったこの事件、果たしてレッドカードは妥当だったのかどうか?
みなさんはどう考えますか?



はい、では疑問1からいきましょう。
「ピッチにいない交代選手、または退いた選手にもレッドカードは提示されるか?」

解答:これはレッドカードを提示されます。

競技規則2012/2013の39ページ
第12条 ファウルと不正行為
「退場となる反則」の項目
”競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の7項目の反則のいずれかを犯した場合、退場となる”
とあるからですね。
みなさん正解出来たでしょうか?

ちなみに監督の場合”退場”はなく、”退席”というので注意しましょう。



次に疑問2です。
「人に乱暴な行為をしたら退場は妥当だけど、
 動物に行った乱暴行為でも、退場が当てはまるものなの?」

これは深いです!!
上記疑問1にもありましたが、再録しましょう。

「退場となる反則」の項目
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競技者、交代要員または交代して退いた競技者は、次の7項目の反則のいずれかを犯した場合、退場となる

●著しく不正なファウルプレー
●乱暴な行為
・・・・以下略
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この”乱暴な行為”は、乱暴の対象が明記されていません。

よって今度は競技規則のガイドラインを見てみます。
123ページ、4行目。

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また、味方競技者、観客、審判員、あるいはその他の者に対して過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、乱暴な行為を犯したことになる。
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はい、乱暴の対象に”者”とありますね。

念のため競技規則び原本(英語版)も調べてみましたが、”者”部分は”any other person.”と書かれていたので、対象が人なのは間違い有りません。

要するに人なんですよ、懲罰になる場合の乱暴の対象は。
人に乱暴を働いた時ときのみ、退場処分になるのです。

蚊を殺しても退場にならないのと同様に、犬に対して乱暴を働いても、ルール上退場にならないのです。

よって、個人的には今回の事例、7番の選手に”警告”が妥当ではないかと思いました。
理由は”反スポーツ的行為”です。

犬を粗略に扱い、それはサッカーの品位を落とす行動だったからです。

はい、ではそれを踏まえ解答に移りましょう。



■疑問2
「人に乱暴な行為をしたら退場は妥当だけど、
 動物に行った乱暴行為でも、退場が当てはまるものなの?」

→解答
競技規則上、動物に対しては、乱暴な行為を行ったとしても、退場は当てはまらない。

ただし今回被害に遭った犬は、人間の愛玩動物である。
主審は、社会通念や観客の意向を汲み取り、犬を人に近い存在に位置づけて、加害者に退場処分を行った。

なお、今回の事例は競技規則を厳格に当てはめた場合、”反スポーツ的行為”による警告が妥当と思われる。