”すわクリスマス倒産か!?”
そう騒がれていた大分トリニータは、なんとかクリスマス倒産を免れましたね。
Jリーグが2億5千万円の追加融資を保留しておりましたが、その危機を救うべく大分県内の金融機関がつなぎ融資に応じたようです。
大分トリニータの元の名称”トリニティ”は三位一体と意味だそうですが、まさに県民、行政、企業一体となった形ですね。
しかし実質債務超過は9億1千万円と言われ、クラブの縮小を余儀なくされます。
J1の舞台に再び戻ってくるのは、一体何年先になるでしょうか。
そもそも昨年はリーグ四位、さらにナビスコカップを制するなど、地方の一クラブにもかかわらず奮闘した大分トリニータには大きな注目が寄せられました。
しかし今年は泥沼の14連敗を喫するなど、4試合を残して早々とJ2降格の憂き目をみました。
そして明るみに出た経営難。
運営元の大分FCは企業です。
企業というのはそもそも利益の追求が目的であるかのようにいわれますが、
その前提として半永久的な永続性(=ゴーイングコンサーン)を求められます。
このように会社の継続性を危うくした溝畑宏前社長の責任は、免れることは出来ないでしょう。
昨年のナビスコ杯優勝時には時代の寵児のように持て囃されていた元官僚の溝畑社長。
それが、チームのJ2降格と債務超過の発覚で今や戦犯です。
そもそも一般企業と、Jチームを運営する大分FCのような企業では、両者ベクトルが異なると考えられます。
一般企業は利益の追求へ、ベクトルが向いています。
対してJチームを運営する会社はどうでしょう?
利益の追求の度合いはそこまで高くはありません。
利益を大幅に上げるくらいなら、現有戦力の充実や下部組織の投資にまわせと言われるでしょう。
現にJリーグの一員であるモンテディオ山形を運営するのは、社団法人 山形県スポーツ振興21世紀協会という、法人です。
社団法人は、株式会社と違って利益追求を目的としていません。
Jチームの運営会社は、利益へのベクトルが小さい代わりに”チーム成績”というベクトルが存在するのです。
戦力補充に多額の投資をしても、成績がよければサポーターから吊るし上げられることもありません。
リーグ戦や、天皇杯、ナビスコカップなどの戦績がよければ、チーム運営がうまくいっているような錯覚に陥りがちです。
この両者①利益、②チーム成績のうち、②のほうに比重をかけすぎたために、今回の大分トリニータの惨事が起こったものと言えそうです。
もちろん、不況によるスポンサー離れなど、不運だった面はあるでしょう。
しかし”永続してこそ企業”という、本分(ほんぶん)をおざなりにした。
そこに溝畑社長の、経営者としての限界があったのと言えるのではないでしょうか。