新日本プロレス Super J-Cup 2020 12/12/2020
1回戦
レイ・ホラス対ブレイク・クリスチャン
米墨のハイフライヤー対決。ホラスはアメプロスタイルにも対応出来る選手なのはわかっていたが、クリスチャンもテンポを落としても試合を進められる事は少しずつ証明していて、この試合でもそれを示していた。ただ前半のハイフライング連発で生んだ熱量を、後半で押さえつけ過ぎていたのは惜しい。それでも悪くはなかったが、トーナメントである点や新日本という事を意識してしまったのか。そういう指示があったとは思えないが、せっかくならもっと飛んで派手な方が良い内容になったとは感じた。そしてクリスチャンの決まり手が必殺技でもない只のフロッグ・スプラッシュだったのは注文を付けたい。
平均的良試合。
評価:***1/4
1回戦
エル・ファンタズモ対リオ・ラッシュ
小悪党ファンタズモがヒールプレイで先手を取ろうとするものの、新日本を除く世界のプロレス業界的には格上で、本当に悪童な元WWE NXTクルーザー級王者リオ・ラッシュ相手なので、ヒールプレイでも簡単には優位を取らせて貰えず、何とかファンタズモが強引に持っていこうとするも、「お前が合わせろや」と言わんばかりに得意な展開に行かせないそのヒリヒリした展開が興味深い。大会通してこのリオ戦以外は、必要以上に格上感を演出していたファンタズモだが、この試合だけは格上リオに手を焼いていたのが印象的。ファンタズモが合わせていく形にはなったものの、只ファンタズモはファンタズモで、場外でのスタイルズクラッシュを決める等、「新日本は俺のシマだ」と意地でも譲らなかったのが良かった。今一番BULLET CLUBのメンバーで、BULLET CLUBを体現しているのはファンタズモかもしれない。
そして終盤はファンタズモの大技とリオの俊敏かつトリッキーな攻撃が火を吹き、見応えがある形となる。「スイングした」良い試合ではないので、日本のファンは置いてけぼりではあるものの、両者の本気と縄張り争いが見られて質以上に楽しめた一戦。リオも復帰戦の時と比べるとかなり仕上がってきていて、今後の活躍も期待出来るだろう。中々良い試合。
評価:***1/2
決勝戦
ACH対エル・ファンタズモ
入場時にファンタズモがACHを急襲、トロフィーでACHが痛めている腰を殴打。この時点で格差を更に拡大させる形となり、ファンタズモがヒールプレイを使いながらACHをドミネイト。その後のACHの反撃でこの伏線を回収できれば良いのだが、この大会自体が、リオが負けた時点で「BCを代表した、ヒールのファンタズモが強さを見せながら、悪く狡く勝利を掠め取る」という趣旨である事が露呈してしまった為に、その趣旨に沿ったACHは爆発力を封じられてしまう。耐えに耐えて必殺技を放ち、何とか勝負論は保っている展開ではあったが、そこにレフェリー失神、ローブロー、そして必殺技とドミネイトするのか小悪党で行くのかどっち付かずの状態で、結果的にACHのヒーロー感も出させずに完勝してしまうのが、この試合が伸びなかった要因。豪華メンバーを擁してのファンタズモのプロモーションでしたという結果だが、ドームでヒロムとシングルさせるなら、それ位の箔をつけて送り出すのは理解出来る。カナダで待機し続けて貰ったファンタズモへのお詫びだろう。
平均的良試合。
評価:***1/4
全体評価:7