新日本プロレス
Power Struggle 2020 11/7/2020
NEVER無差別級選手権試合
鈴木みのる(c)対鷹木信悟
ゴツゴツとしたハードヒッティングをベースに、休まず動き続けながら、激しい死闘に見せていくテクニック、表現力の高さが光る内容。セミやメインに配慮したアンダーカードの物量で留めつつも、不満は一切残らない様な激戦具合。物凄く高いレベルでまとまった肉弾戦なのだが、尖った様に見せるのが上手く、それが肉体的な物足りなさを確実に包み込んでいる。もっとゴツゴツで狂った打撃戦は日本にはあるのだが、この試合位置に適した好勝負レベルの肉弾戦を確実に作り出せる技術は、新日本がやはりダントツ。このNEVER戦線の右に出るものはいない。ファストペースとダメージ表現を絶妙に使い分ける熟練の魅せ方で、NEVER王座戦らしい苛烈な激闘を作り上げた。好勝負。
評価:＊＊＊＊
東京ドーム・IWGPヘビー級＆IWGP ICダブル王座挑戦権利証争奪戦
飯伏幸太(c)対ジェイ・ホワイト(w/外道)
序盤からジェイがコントロールする形。外道を介入させるものの、ヒール度は薄め。メインでも介入させる展開になる事が予想される為の配慮だろう。小刻みに攻防を紡ぎつつ、ジェイの各種得意技が火を噴く。ベストではないがグッドなチョイスの連続。無理に引き算には行かず、堅実な足し算である。中盤や終盤に大きなタメがないのでスケール感ではこれまでよりは足りないものの、一つ一つの攻防の質やキレ、スピード感はやはり素晴らしい。史上初の権利者移動というサプライズの為の試合ではあったが、安定した良い試合でした。中々良い試合。
評価:＊＊＊1/2
IWGPヘビー級王座&IC王座 ダブル王座戦
内藤哲也(c)対EVIL(w/ディック東郷)
前半はEVILがラフとヒールプレイで支配するのはこれまでの抗争と同じ流れ。違和感がなくなっているのは慣れも出てきて、試合も重ねているからだろう。東郷の介入も流石に的確。そして1番大きな要因は内藤が動き過ぎなかった所。EVIL陣営に任せて、自身はダウンベースを強めて、反撃を絞った事で重厚さが生まれた。ヒールプレイと攻防の割合も良いバランスである。中盤も序盤で行ってきた事は崩さずに、リズムの変化を小刻みに行う。切り返し合いを入れながら、落とす所はダウンしやすくなる様なインパクトが強めの技や関節技で落とす。元々EVILも出来ていた事なので、それがヒールスタイルと上手く調和出来た。土台が確実なので、後は攻防を重ねていき、そしてエンタメ要素も裕二郎、東郷&SANADAに加えジェイ&飯伏という二段構成の介入シーンで物足りなさをカバー。不穏さを作り出せるジェイが出てくる事で、一気に特別性が生まれる。エンタメゾーンが終わった後も、どちらが勝ってもおかしくない様なスリリングさを保ち続けた激闘。全てのバランスが最高品質で、描きたかったものがやっと具現化出来た納得の好勝負。文句無しに好勝負。
評価:＊＊＊＊1/4
全体評価:9