Impact Wrestling 

Bound For Glory 2020 10/24/2020

Impact Wrestling世界タッグ王座戦-4コーナーズ・マッチ
モーター・シティ・マシンガンズ(c)(アレックス・シェリー&クリス・セイビン)対エース・オースチン&マッドマン・フルトン対ザ・グッド・ブラザーズ(カール・アンダーソン&ドク・ギャローズ)対ザ・ノース(イーサン・ペイジ&ジョシュ・アレキサンダー)

試合開始前にシェリーが、ジョシュのダブルアーム・パイルドライバーを喰らい戦闘不能。最後まで戻ってくることはなく、残されたセイビンを痛ぶる事で終盤まで持っていき、その後は全チームとセイビンが入り乱れて連携技を披露する流れ。それぞれ実力者なので、そつなくこなしながらインパクトも生み出せているが、アンギャロがビックリするほど試合に入れていないのが印象的。全体的な作り込みも甘い。シェリーがいてもどうにかなったかいうわけでもなさそうなレベル。ノースとアンギャロで抗争するのかもしれないが、現AAWタッグ王者チーム、エースとフルトンが良い動きを見せていて、印象的だったので、ゲスト感溢れるアンギャロより彼らをプッシュしても良いのではないだろうか。

平均的良試合。
評価:***1/4

Impact Wrestlingノックアウツ王座戦
ディオナ・パラッツォ(c)(w/キンバー・リー)対スー・ヤン

 

ディオナ対カイリーとなるはずだったが、カイリーは現れず。(コロナウィルスの影響か。ディオナはコレクティブの参戦を取りやめしたが、カイリーは参戦。皮肉にも参戦の可否として結果が出てしまった。→結果的に訳は明かされずも、メンタルの問題の可能性が有力。)
先日のVictory Roadで化身のスージーが腕を負傷されられた恨みを晴らすかの如く、スーがエプロンへの投げ等で攻勢に出るも、次第に王者ディオナが反撃に出る。ジョーディン戦よりも更にじっくりとした間を取った支配を見せる。得意の腕攻めやスープレックスを駆使しつつ、重厚な中盤を構成。新調したコスチュームに雰囲気もあり、ここまで短期間で女王の気品を出せるのは素晴らしい。元々良い選手だったが、ここまでとは驚いた。その様な素晴らしいディオナに対し、キャラクターを守りつつも、レスラー的激しさを押し出したベビーフェイス仕様の戦い方を見せたスー。インディでは対カーラや対サミ等キャラクターを超えた好勝負を作り上げているスーだけあり、ベテランらしい地力の高さを示す。只崩してはいけない最低ラインのキャラクターに沿った試合運びは守るのは忘れない。

 

終盤には、3連ジャーマンに腕攻めからの関節技で仕留めにかかったディオナに対し、腕を極められながら得意のマンディブルクローを決めるシーン。見たかったこのシーンを最高の形で決めた後、レフェリー失神、キンバーの介入を跳ね除けたスーが、過去最高に鋭角なパニック・スイッチ一閃。カイリーの欠場をアナウンスしなかった事は決して褒められた物ではない(出来れば別撮りでも負傷プロモは欲しかったが、それが出来ない程だったということだろう)けれども、一度は辞めようとした団体の危機を救うスーの気迫と、ディオナの更なる成長が交わった見事な一戦。好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

Impact Wrestling世界王座戦
エリック・ヤング(c)対リッチ・スワン

 

発端はスラミバーサリーで、EYをフォールしたスワンが、腹いせに脚を負傷させられ、更に度重なる襲撃を受けた中で、大復活を遂げたスワンが、団体の象徴であり精神的支柱のエドワーズを破り王者に返り咲いたEY相手にどこまでやれるのかという試合。サミが王者だった時に挑戦はしているが、年間最高の舞台であるBFGのメインに立つのは当然初めてであるスワン。脚狙いのタックルをかわし、軽快な動きを見せるが、凶暴性を増し、隙もなくなったEYがすぐに形成逆転。オーソドックスな支配ターンに、雪崩式ネックブリーカー等得意のパイルドライバーに繋げる為の首攻めとストーリーに忠実な脚攻め両方をそつなく織り込む形。決して派手ではないものの、サイコな顔芸とベテランらしい的確な試合運びを見せる。対するスワンも派手な受けと痛み表現で魅せ、長い支配ターンをサポートすると、反撃のターンでは持ち前の伸びやかな攻撃を見舞う。その中でも軽くなり過ぎない工夫を施しているのは流石。キャリアを重ねて、WWEでは上手く行きかけて、良い所でつまずいた両者が共に選んだ再起の場で、実力を向上させトップレスラーの振る舞いを見せる。生きる場所はメジャーだけでは無いことを証明してくれるのが素晴らしい。
長く重々しくした中盤を踏まえた終盤も、スワンは華やかで跳躍力溢れる攻撃を、EYは痛めつけた首と脚を獰猛に狙い続ける。終始徹底した試合運びを見せ、それを終盤の大技攻勢に結びつけていたのが良い。フィニッシュまで勢いが落ちることはなかった。低調だったPPVを両雄のベストワークで見事に救い出した好勝負。ここでバッドエンドではなく、シンプルな勧善懲悪を選ぶのも、団体としての成熟度が増したからでしょう。好勝負。
評価:****



全体評価:7.5+