新日本プロレス 

Wrestle Kingdom 14 Day1 20/1/4

IWGP USヘビー級王座戦-テキサス・デスマッチ
ランス・アーチャー(c)対ジョン・モクスリー

モクスリーが格上なので、アーチャーの怪物感が出にくいものの、

EBDクローしかもビニール袋活用で、上手く調整。

各種凶器も手広く使いつつ、さあこれからだというような、

場外テーブルへのデスライダーで終わってしまうのが惜しい。

号令は実は終わりのサイレンであった。ドームということで時間の制約がある中で、

やり切る前に終わってしまった。
しかしフィニッシュは強烈で必見。中々良い試合。
評価:***1/2

IWGP Jr.ヘビー級王座戦
ウィル・オスプレイ(c)対高橋ヒロム

究極のマスターピース。最高のライバリティー。
序盤や中盤の極上のシークエンスに代表される演舞要素と

長期欠場明けのヒロムへの首攻めという要素、

そしてそれを合わせつつ、終盤の死力を尽くした攻防を、

繋ぎ止める間の間隔やダメージ表現のバランス感。

重すぎず多少軽めなのが、大舞台のライバル決戦で、

メインを喰ってジュニアがヘビーを超える試合をするのがこの試合のテーマ、

コンセプトに沿っているリズム。そこが絶妙。

どうしても大ボリュームでインフレになってしまう中で、強固な命綱となっている。
攻防の質・量共に世界最高品質なのは言うまでもなく、

この試合は特に神懸っていた。ヒロムの状態も全く問題なし。

ヒヤヒヤは両者に対してするものの、今を生きる。

トップ・オブ・ザ・ヘッドで突き進む刹那的魅力が詰まっている。

このクオリティが当たり前に感じる程、

この2人はとてつもないレベルに存在している。

それを感じさせた5スターマッチ。
評価:*****

IWGP IC王座戦
ジェイ・ホワイト(c)(w/外道)対内藤哲也

典型的なベビーヒール。そこに脚攻めを加えつつ一進一退。

ジェイの試合構築や見せ方は、やはりスター性しか感じない。

しかし目新しさはなく、ずっととやってきた内容。

等身大といわれればそれまでではあるものの、

WKなのだから更に上を期待してしまう。何なら乱入祭りでも良かった位。

クオリティな高値安定で、印象的なシーンは多いものの、後5分は削っても良かった。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

IWGPヘビー級王座戦
オカダ・カズチカ(c)対飯伏幸太

冒頭のレスリングこそオーソドックスで普遍的なものであったが、

そこからは無駄なシーン等ない極上の攻防の連続。

序盤のレインメーカーを躱したシーンでは、

あえて飯伏は、必殺技に行かず、

ミドルキックからのシークエンスにしたのは正解。

細かい所ではあるが、今回は違うなと感じさせる。

中盤はオカダが圧倒。

飯伏でさえもアンダードッグレベルに落とせるオカダの絶対王者らしさ。

攻撃自体は場外を使った攻撃から、

久しぶりのレッドインク等得意技のみだが、

配置や間の取り方はやはり完璧。圧倒感を出すことで、

飯伏が爆発した時より効果的なものになる様に仕向けつつ、

ドームのメインとして特別なものにする為の、

堅実な土台作りも行う的確な仕事ぶり。
対する飯伏も、一方的にやられてばかりではなく、

細かく反撃は入れる。そしてオカダに煽られ続けると、飯伏は遂に爆発。

只今回は単に危険技ばかり出すマシーンではなく、

制御された狂気を持つスーパーアスリートとして存在しているので、

しっかりと絶対王者を脅かすスターとして振る舞っていたのが印象的。

飯伏もこの試合に向けてかなり仕上げてきていたのだと実感させる。

ここからは飯伏のキラーモードという軸を見せつう、

得意技、切り返し、必殺技、隠し技と豪華絢爛な攻防の連続。

通常のビッグマッチの更に上を見せ続ける特別仕様。

やはり歴史的な試合は、爆発力に加えて頭から終わりまで、

クオリティが最高レベルだからこそ生まれるもの。

オスプレイ対ヒロムの後でこんなにすぐに同じレベルの名勝負が生み出されるとは。

圧巻の一言。ケニー戦にも引けを取らないレベル。天晴れ。
5スターマッチ。
評価:*****

全体評価:9.5