Pro Wrestling NOAH GLOBAL Jr LEAGUE 2020
エディオンアリーナ大阪 第2競技場大会

GLOBAL Jr. LEAGUE 2020 Dブロック公式戦
原田大輔対クリス・リッジウェイ


ジュニアらしい疾走感とハードヒッティングがメインの試合。

その中でボーアンドアローやSTFとリッジウェイは細かな裏技を披露。
打撃の威力も増している。そこから足早に終盤へ。内容の質は折り紙付き、

いつでもベルト掛けられるレベル。ただ第2試合ということで、

10分少々と構成上の問題から抑えた内容。

中盤と終盤含めて後3〜5分あれば好勝負レベルの一戦。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

GLOBAL Jr. LEAGUE 2020 Cブロック公式戦
YO-HEY対大原はじめ


終盤の予告なしムイビエンに代表されるように、

大原にしかリーグ戦突破の権利がない為、

モチベーションの差が出た試合。シリアスに勝ちに行く大原と

消化試合の為余裕のあるYO-HEYの構図。

しかし、飄々と鋭い攻撃を見舞うYO-HEYと大原の熱い立ち振る舞いという、

対照的なスタンスが良い対比になり、

大原の七色のバックブリーカーも色を添える。

大原は、ルチャも上手いロドリック・ストロング化を推し進めているが、

フィンランド式フォーアーム解禁か、

エンド・オブ・ハートエイク的なサブミッションではない代表的フィニッシャーがあれば、

更にトップになるだろうという印象。背中攻めからのムイビエンは、

理にかなっているものの、物量押し出来れば更に良い。

この試合に関しては、ムイビエンからの

変型キャメルクラッチ(ムイビエン・ロック)という裏技で、

持って行ったのは見事。スリリングかつ熱のこもった一戦となった。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

GLOBAL Jr. LEAGUE 2020 Aブロック公式戦
小川良成対HAYATA


序盤は細かな攻防をしては、切って仕切り直し。ゼロベースの構築でスタート。
その中でも細かな仕掛けを散りばめていく小川。

1.4の王座戦では脚攻めを選んだが、

今回はヘッドロックに代表されるような首攻めを選択。

ねちっこいヘッドロックに首4の字、DDTと技の少なさを、

手法の豊かさで補う所はベテランの腕。基本は小川が支配をするものの、

HAYATAの反撃も細かく受けながら試合を進めるので、スリリングさは残している。

ニークラッシャーの痛みと反動を利用してヘッドロックに持ち込む、

リープフロッグからコブラツイスト→グラウンドコブラという

唸るしかない流れで魅了する小川に対し、HAYATAも得意のキックや

ハイフライングで応戦。グラウンドに関しては付いていくしかないけれども、

小川にない華やかさやキレを持っているからこそ、終盤の厚みが出る。

この組み合わせが良い試合になっているのは、

HAYATAにもしっかり見せ場があるから。小川がHAYATAの土俵で、

動くし受けるから。HAYATAの所謂ジュニアらしい華やかさを受け入れるから。

受け入れて、受け切った上で仕留める。懐の広さと懐刀の切れ味。

1.4の王座戦で度肝を抜いた内容を、今回は首攻めに品を変え、

質を一切落とさず、新鮮さをキープしてやり切ってしまう。見事な内容。

首攻めなので、バックドロップも使いやすいし、

クライマックスの丸め込み合戦も入れやすい。

首攻めという扱いやすい一極攻めを活かした構築。

前回の試合にあった脅威のダイナミズムとドラマ性は劣るものの、

フロー感と細かな転調を入れ続け、序盤〜中盤に、

何気なく入れたコブラツイストがフェイクとなったフィニッシュ。

小川劇場再演というべき高度なテクニックショー。再戦も充実の激戦。

この試合だけで元が取れる内容。

マキシマムは受け入れつつ、ミニマムの動きでダイナミズムを生み出す。

今後の小川政権も楽しみになる好勝負。
評価:****
 
GLOBAL Jr. LEAGUE 2020 Bブロック公式戦
鈴木鼓太郎対ディック東郷


グラウンドでのスタートも場外戦からトペと早めに動く。

鼓太郎は、腹部へのエルボーを軸にあばら攻め。

それに対し、東郷はわかりやすいセルで痛みを伝えるも、

ノアの様なハードヒッティングがベースの団体には、少し仰々しすぎるか。

しかしそこからスリーパーからリアネイキッドチョークに繋げ形勢逆転。

クロスフェイスを中盤で出し威力を示す。首攻めで一貫した上に、

必殺技クロスフェイスを見せて、得意な事と強みが何かということを示す。

キャリア十分の東郷ではあるが、ゲストである立ち位置を考えての戦法だろう。

ただ謙虚であるだけでなく、

踏み込んでクロスフェイス攻めにまで繋げるのだから流石の一言。
それで東郷がドミネイトし切った訳ではなく、

鼓太郎のボディへのエルボーという仕掛けが、終盤効いてきて、

接戦になっているというのは意欲的。只鼓太郎は、

アバラ攻めを回収する為の攻めは持っていないので、わかりづらさはある。

鼓太郎も技のバリエーションが豊富なので、

そこはシンプルに一進一退にして、ボリュームを増やしても良かったとは思った。

しかし、エプロンからの断崖式の攻防から、必殺技を巡る攻防は見応え十分。

仕上げは綺麗に整える所は流石ベテラン。

只、期待値が高すぎたという所とリーグ戦のワンマッチという点、

前の試合の凄さという様々な要因が、やりづらさを作ってしまったか。

それでも技巧派同士の熱戦には変わりなし。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

全体評価:9.5