Impact Wrestling 

Hard To Kill 20/1/12


Call Your Shot Trophy権利争奪戦
マイケル・エルガン対エディ・エドワーズ

レスリングはカットし、場外戦を交えた序盤でスタート。

ハードではあるが、上手く噛み合わず、

その前のRVDの試合が不穏過ぎて会場の雰囲気も悪かったが、

諦めずエルガンのパワー&テクニックとエドワーズの粘り強さと加速力で、

次第に着火してきたこの試合。中盤以降も手を緩めず、

エルガンの厳しい攻撃にズタボロになりながらも、

何とか返していくエドワーズ。

ここはROH?というような、往年のROHスタイルともいうべき、

日本プロレスの激しい肉弾戦とテクニカルな切り返し等を組み合わせた攻防を展開。

エルガンがクロスフェイスなら、エドワーズはハーフ・ボストンクラブと

キャラクター変更してからは封印していた切り札を解禁。

フルスピードでのラリアットにタイガー・ドライバーというノア殺法も決める元GHC王者仕様。

ここまで心身切り詰めた試合を見せてくれれば、盛り上がらない訳はない。

最後も強きエルガンの支配感を潜り抜けた、

エドワーズの逆転勝利まで上手く描き切ったフィニッシュ。

ラシュリーとの抗争も思い出す内容。

好調インパクトも遂に力尽きたかと思った中での、

名勝負メーカー・エルガンの安定感と団体における、

最長在籍者エドワーズの魂のファイト。

確実にこの大会を救った激戦。好勝負。
評価:****
 

インパクト世界タッグ王座戦-ハンディキャップ・マッチ
ザ・ノース(c)(イーサン・ペイジ&ジョシュ・アレキサンダー)対ウィリー・マック

スワンが2日前の大会で足首を負傷。出場不可になり、ハンディ戦に。

途中で誰が助けに来るだろうと思っていたら、本当に全編ハンディ戦。

TV放送ではマックの足負傷ブックを引いていたが、

なかったことにして、強敵ノースに対し果敢に挑む。

マックも試合を成立させようと相当気合が入っており、

ノースもそれに応える。孤立シーンを描きつつ、

マックの重爆攻撃にあわやというシーンも多く描く。

シングル×2にハンディ戦の儚さを織り交ぜる。

ドゥームズデイ・カナディアン・デストロイヤーという超大技に、

スタナー連射で粘るマックをねじ伏せノースが勝利と狙い通りの内容。

やれることは確実にやりきった一戦。スワンがいれば、

好勝負クラスは狙えたので残念。スワンの早期復帰を祈りたい。
中々良い試合。
評価:***1/2

インパクト世界王座戦
サミ・キャラハン(c)対テッサ・ブランチャード

この試合は、テッサ戴冠により、大きい花火となるはずだった。

しかしテッサの過去のいじめ・人種差別発言問題が発覚

(アリシン・ケイらが公開)したことにより、焦点はこの試合の外に置かれる事となる。
スタートは互いの必殺技を一発ずつ打ち合い、ダイブスポットへ。

少し捻っていたものの、スラミバーサリーで掴んだ型は崩さずに構築。

そこから脚攻めというのも基本は同じ。少しサミが苛烈感を打ち出しつつ、

脚攻め+ラフ攻撃で支配。試合前は試合どころではなかったと

エージェントのトミー・ドリーマーが後日談で、

「テッサは、試合前とても試合を出来る状況ではなかった」と明かした様に、

狼狽えた、攻撃による痛みとは違う表情を見せるテッサ。

完璧な攻防を見せるのがやっとで、そこからのプラスを生み出す余裕は到底ない様子。
その分サミが攻守に渡りサポート。テーブル葬で中締めを行なった後は、

テッサの反撃を煽りつつ、脚攻めも回収し、しっかりとメインの格式を守る。

獰猛なキャラクターだが、やっていることは丁寧な作りを心掛けていた。

場外やエプロンでの攻撃に、必殺技の攻防と分かりやすさという軸と、

スリリングな空気感は最後まで崩さず、

最後はカナディアン・デストロイヤー連発という締めくくりに相応しい攻撃から。

サミがこの試合も確実な仕事ぶりで、テッサに王座を明け渡した。

後は己の過去と向き合うのか、一切向き合わないのかは別にして、

テッサがどう王者ロードを歩んでいくのか見ものである。
文句無しに好勝負。
評価:****1/4

全体評価:8