新日本プロレス 

King Of Pro Wrestling 2019 19/10/14
鈴木みのる対獣神・”サンダー”・ライガー
ライガーはバトルライガーモードで登場。
自らグラウンドの攻防に持ち込む流れ。年齢的にも新日本、

両国大会ビッグマッチ的にも要素として見せただけに留まるも、

ノスタルジックにさせるには十分。

グラウンドならまだまだやれるところを見せたライガーも、

対ヘビーで動かなければいけない状況になると、

肉体の素晴らしさとは裏腹に、流石に衰えは感じる。

ラフや打撃を交えつつ、終盤へ。コンディションに勝るみのるが、

動きでも表情でも確実なキャリーをしており、ライガーを全面バックアップ。

単なるクオリティ以上に観る者を、感傷的にさせるのが目的の内容なのだが、

それでいて内容でもしっかり下支え出来ているのは素晴らしい。

ドミネイトも耐え姿もライガーの攻めパートも良い塩梅、

そして引導を渡すかの様なフィニッシュ。

この試合における意味合いを全て表現してくれた内容。

試合後も含めて鈴木みのるの掌の中で踊っていた作品。好勝負。
評価:****

IWGP Jrヘビー級王座戦
ウィル・オスプレイ(c)対エル・ファンタズモ

クリーンファイトと見せかけてチープショット、

落とすと見せかけて最後に大きいスポットを持って来る。

ヒールプレイかと見せかけて真っ向勝負。

真っ向勝負と見せかけて介入からのダーティーワークとメリハリを凄く効かせた内容。

高所ダイブもあり、ファンタズモがタクトを握っていた中盤までは、特に面白かった。

終盤以降、ロビー&石森の介入等中盤までの完成度から考えると、

少し小さくまとまった内容になってしまったものの、

攻防の質・量共に凄まじ過ぎるレベル。オスプレイに対し、

ファンタズモの必殺技数が足りず、

オスプレイの驚愕技に押し切られ過ぎた感もあったものの、

雪崩式の攻防のレベルも高く、オスプレイは新旧の得意技をこれでもかと繰り出し、

星輝ありさ直伝ブラジリアン・キックに、

正面からのヒドゥン・ブレードという殺戮技を新たに披露。

華麗な中に冷酷さも示した形となった。マスターピースと言われれば、

この2人なら更に高みに行けそうだが、確実にショーをスティールした一戦。
名勝負。
評価:****1/2

IWGP USヘビー級王者決定戦-ノーDQ
ジュース・ロビンソン対ランス・アーチャー

モクスリーが台風の影響で飛行機が飛ばす来日不可による王座剥奪で、決定戦となる。
アーチャーの怪物性を活かしつつ、

ノーDQを上手く当てはめていく。

オープニングのローブローは微妙だったが、

すぐさま場外乱闘で修正し、テーブル葬で一回豪快に締める。
そこから更にテーブルと椅子の攻防をメインに進める。

細かな切り返し等は少なめに、豪快なスポット重視にし、

間もゆったり取って死闘感を演出したのは正解。エンタメに寄りすぎず、

かといって過激に寄りすぎず、新日ファンが楽しめる良い塩梅の、

ハードコア戦となっている。クライマックスも椅子盛りへの投げを立て続けに行い、

最後をクローで締めたのは正解。これでアーチャー時代を高らかに示す事が出来た。

好勝負。
評価:****

1.4東京ドーム・IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦
飯伏幸太(c)対EVIL

特段スイングしているわけではないものの、丁寧に一つ一つ攻防を紡いでいき、

飯伏の身体能力やEVILの椅子攻撃といったアクセントも効いている。

多彩な技を持つ両者、攻防のバリエーションも備わっている。

間もいつもよりもしっかり取っており、試合が軽くならない様に、

セミという重要な位置である事を示す様に調節しているのも良い。

ミッドカードに凄まじい試合が並んでいて、多大なるプレッシャーがかかる中、

内容で重責を務め上げたのは見事。

クライマックスの攻防を上手く嵌っていて、狙い通りの内容。
只権利が移動した事がないので、

存在意義について問われ続ける事にはなりそう。

どこかで動かせて、可能性がある事のスリリングさを生み出したいが。

好勝負。
評価:****

IWGPヘビー級王座戦
オカダ・カズチカ(c)対SANADA

2019年を代表する数え歌の決着戦。王座交代が考えにくい中での一戦。

数え歌だけあってレベルは物凄く高い。基本的なレスリングから、

互いの高すぎる身体能力を活かした映し鏡の様な攻防。

そこからペースを落としてライバリティーを見せる打撃合戦から、

スカルエンド、ツームストーンを巡る攻防そしてレインメーカーと鉄板の攻防を、

更にボリュームアップして作り上げたロングマッチ。

いつもやっていることに少し特別感を出したものの、

このカードは特別感を無理に出す事が特別なのではなく、

通常が特別である。そこまでの段階に行き着きつつある。
だからこそロングマッチ、ボリュームを極限まで増さないといけないという

固定概念を外した姿を見たかった。打撃が長所ではない両者が、

見せるには長すぎる打撃戦や、スカルエンドもバリエーションが限られ、

掛けられている側の表情が見えづらい特徴がある中での、

長時間耐えるシーンを入れると、

スカルエンドの説得力が落ち、停滞感が出てしまう。

それならオカダもレッドインクやコブラクラッチを織り交ぜるべきで、

欲を出した事により、完成形と少しズレが生じてしまった。

素晴らしい試合なのは仕方ないが、アイアンマンや3本勝負ではない中で、

ストーリー押し出来ないSANADAの性質上、

30分前後が名勝負に入る試合を作れる限度なのではないかと今回は感じた。

当然それを打ち破れるスペックも可能性も多分にあるので、

2020年の課題として取り組んで欲しい所。
名勝負。
評価:****1/4

全体評価:10