Impact Wrestling Slammiversary XVII 19/7/7
 

フェイタル・4ウェイ
トレイ対ウィリー・マック対TJP対ジェイク・クリスト

マックの重爆攻撃やTJPのテクニカルな所をアクセントとして加えつつ、

連鎖攻撃で盛り上げていくスタイル。勢いを持続させる事が出来る、

確実な実力を示し続けていた。

オープニングの多人数戦のメンバーとしては豪華な部類に入るこの試合、

名前負けしない気合の入った内容となっていた。
中々良い試合。
評価:***1/2

 

ファースト・ブラッド・マッチ
キラー・クロス対エディ・エドワーズ

ゲーム性の強いファースト・ブラッド戦だが、

この試合はハードコア戦としても通用する濃い内容となっている。

クロスの凶悪な攻撃、それを引き立てつつ、

サイコヒーローとしても振る舞うエドワーズの上手さが光る内容。

ムースにしても粗のある巨漢を上手く料理したハードコア戦が、

ここ最近はインパクトのPPVでの得点源となっており、

ミッドカードに無くてはならない存在となっている。

ハードコア戦に向いていなかったテクニカルさが持ち味のエディ・エドワーズが、

ハードコア・マスターみたいな立ち位置になるのだが、人生わからないもの。

クライマックスもクロスのスリーパーを上手く活用した上で、

ストーリーに絡めてフィニッシュ。丁寧な仕事ぶりが際立つ一戦。

好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

ノックアウツ王座戦-モンスターズ・ボール・マッチ
タヤ・ヴァルキリー(c)対ハヴォック対ローズマリー対スー・ヤン

 

通常技の攻防も早々に切り上げ、後はハードコア・アクション。

粗もあり癖も強過ぎるメンバー構成だが、各々相当な意気込みを持っており、

身体の張り具合はいつもと格段に異なる。各種凶器攻撃を一通り行った後、画鋲を投入。

そこからはギアを数段上げ、画鋲へのカーブストンプにテーブル葬

そして画鋲への雪崩式ツームストーンと、男子顔負けのデンジャラススポットで幕。

中盤まで一定のレベルを乱戦とスポット回しでキープして、

終盤に畳み掛けるのは、昨年のLAX対OGzを彷彿とさせる形。

いくらタフマッチ慣れしている4選手を集めたとはいえ、

昨年に近いレベルでやってのけたのは賞賛に値する。

必見のハードコア・ブロウル。好勝負。
評価:****

Xディビジョン王座戦
リッチ・スワン(c)対ジョニー・インパクト(w/ジョン・E・ブラボ)

インパクトはセコンドのブラボを使いつつ、尊大で緩慢なヒールを演じる。

ムラっ気のある選手だが、今回はそれを変に取り繕うとはせずに、

あくまでもナチュラルな感じで試合を進めていた。

只動きのキレはX級のレベルを持っているので、要所は締める。そしてスワン。

王座を奪取してからは、安定した試合運びを見せているが、

この試合でもハイフライムーブを豪快かつ確実に決め、使い所も百点満点。

インパクトとの調和はそこまで上手くいってなかったが、

インパクトに引けを取らない立ち振る舞いと試合運びは流石の一言。

確実にX級の価値を高めている。
中々良い試合。
評価:***1/2

インパクト世界王座戦
ブライアン・ケイジ(c)対マイケル・エルガン

アンブレイカブル・ファッキン・マシーン対決。動ける巨漢が、

豪快な投げ技と軽量級顔負けのムーブを放つ、彼ららしい内容。

予想通りの展開で、想像を超えてくる事はなかったが、エルガンの安定感があるので、

凶器やブッキングの力をそこまで借りなくても、最後までやり切れた印象。

只セミの位置だったのは納得出来る。まあまあ良い試合。
評価:***1/2

サミ・キャラハン対テッサ・ブランチャード
 

インパクトのPPVでは、初の男女混合戦のメインイベント。正直大抜擢で、

さすがに荷が重いかなと思っていたが、

両者の決意と実力が素直に反映された激戦となった。
まずこの試合の主役テッサ。ゲイル・キム戦を経て、

もう性別を超えてBest in the worldとなりつつある選手。

インタージェンダー戦でもブライアン・ケイジ戦等で良い試合を残した実績もあり、

その試合よりも実力も格も上がっている事から、女性の気品高き姿と、

男性顔負けのアスリート能力、求められていた振る舞いを的確に遂行していた。

この若さで、このレベルで出来る選手は本当に数少ないので、

まさに”Chosen One”である事を再確認。
 

そしてそのテッサをサポートするのは、昨年ペンタゴンJr.戦で、

ショーをスティールした男サミ・キャラハン。しかしその試合以後は、

サミにしては物足りなさが残る姿ばかりだったが、

この試合ではテッサを最大限リスペクトした上で叩き潰す。

時代の流れを理解した上で、媚びない姿を見せる。

試合運びもサミ・キャラハン史上でも一番かもしれない程丁寧な試合構築を見せ、

この試合がまさに「歴史を作る」為にある試合である事を示している、

只現状のサミのスタイルでは、やはり名勝負クラスに持っていくには、

狂ったハードヒットやハードコア要素がないと厳しいものもあり、

終盤にはバットを巡る攻防も加えたが、

通常形式ではこれが限界ではあるだろう。

しかしその限界値ギリギリまでやってくれたのは驚きで、

それを許可した団体のクリエイティブ側のサポートにも脱帽。

体格差や力の差はあるけれど、実力からすればテッサは、

決して劣っていなかったのが本当に素晴らしく、

まだまだ伸びしろも感じるのも恐ろしい。変にテッサを勝たせなかったのも、

硬派だなと感じたが、この内容なら両者とも勝者のようなもの。

相当なプレッシャーの中、クオリティを保ったままやり切ったのは天晴れ。

この試合よりも素晴らしい試合は沢山あるだろうが、

確実にプロレス史に名を残す一戦となった。いずれWWEやAEWも追って実現させるだろうが、

オリジナルとして名を刻んだのはこの試合。文句無しに好勝負。
そして最後に、今テッサ・ブランチャードを追わないプロレスファンは、確実に後々後悔するであろう。

2019年の今現在を代表する、まさに性別を超えたスター。

そして業界を代表するスーパースターになる過程を、

観る事が出来るのだから、一緒に観ていこうじゃないか。
This is Undeniable.
評価:****1/4

 

 

全体評価:9.5