Impact Wrestling Rebellion 19/4/28
ラスカルズ(デズ、ウェンツ&トレイ)対
ムース&ザ・ノース(イーサン・ペイジ&ジョシュ・アレキサンダー)
軽量級ハイフライヤー対巨漢3人の分かりやすい構図。
PPVデビューとなった元モンスター・マフィアことノースのイーサンとジョシュが、
自国カナダでの開催とあって、相当に気合の入った攻撃で相手を孤立させれば、
それを凌ぎ切ったラスカルズは、花道も場外も活用したスーパーダイブを連発。
反撃が全て凄技という最高の動きを見せ、最後は巨漢が制圧して幕と、
やりたい事を全てやり切った一戦。かつてのTNAなら、
ラスカルズであってもジョバーにしてしまう所だが、
決して捨て試合にもワンサイドにもさせない内容。想像以上の激戦。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
インパクトXディビジョン王座戦-OVEルールズ
リッチ・スワン(c)対サミ・キャラハン
スワンは、安定した軽快な動きと、
WWEを経験したからこそ向上した表現力を見せる。
しかしこの試合はハードコア巧者サミが、試合運びの上手さ、印象的なスポットの配置、
凶器の使い方とハードコア巧者たる所以を如何なく発揮。
流血もなくテーブルなどもメインがあるので温存した中で、
鉄柵やレゴを上手く活用し死闘感を上手く演出し、
最後は有刺鉄線バットと遺恨清算に相応しい凶器で締める。古くからの盟友スワンとの特別な一戦に、
絶妙な試合運びで、これぞサミ・キャラハンという上手さを見せてくれた好勝負。
AAW等の試合は低調なものも多いが、スラミバーサリーのペンタゴン戦といい
、大一番ではその実力を確実に示すので、非常に心強い。
評価:****
テッサ・ブランチャード対ゲイル・キム
血筋から言えば、フォー・ホースウーメンに相応しいのは、
シャーロットともう1人父にフォー・ホースメンのオリジナル・メンバー、
タリー・ブランチャードを持つテッサ・ブランチャード。その輝かしい血統に加え、
インディー界最高の実力を持つ。
そして今回は既に引退した殿堂入りのゲイル・キムを引きずり出す事に成功。
ゲイルがテッサなら試合をしても良いと思わせたからこそストーリーを組み、
ゲイルのホームであるカナダでのPPVに合わせ、一戦が組まれた格好。
遺恨はしっかりと作られているので、
レスリングの攻防よりも素早い一進一退の攻防を軸とした展開。
テッサの優れたアスリート能力に、
現役時と遜色ない動きで付いていくゲイル、それに加え、
現役時にすら余り見られなかった新技も使うなど、クリエイティブな面にしても流石の一言。
管理プロレスでは出来ない素早く細かい攻防で紡いでいく形。
一つ崩れると一気に崩れてしまうリスクはあるが、ゲイルの経験とテッサの安定感でそうはさせない。
決まった形をあえて使わない挑戦的な所を、この大一番で見せるのだから恐ろしい。
奈落式のフェイスバスターが、少しミスっぽくはなってしまったが、
何とかカバーして上手くまとめて幕。
パズソーDDTを温存してのサブミッションフィニッシュなので、
死力を尽くした感はもう一つ伸びなかったが、それまでの攻防の素晴らしさで、
十分お釣りが来る特別な内容。ゲイルは、他の復帰したレジェンドに、
格と決意の差を如何なく見せ、テッサはゲイルを復活させるに値するその価値を示した内容。
テッサが更に上のステージに行った時に、必ず語り継がれる一戦。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4
インパクト世界タッグ王座戦-フル・メタル・メイヘム
ルチャ・ブラザーズ(c)(ペンタゴンJr.&レイ・フェニックス)対
LAX(オルティズ&サンタナ)
2019年前半を代表する数え歌の決着戦。疾走感はそこそこに、
主に椅子とテーブルをメインに築いていくハードコア・ブロウル。
連携力は互角だが、ハードコアにおいてはルチャブロズが一歩上手。
ペンタゴンのスター・パワーと煽り能力で繋ぎが出来るのは強み。
かなり実力をつけたとはいえ、試合構築にまだ粗さがあるLAXなので、このフォローは有難い。
スポット過多と思われるかもしれないが、
いつ決まってもおかしくないド派手なスポットを詰め込んだ内容には脱帽するしかなく、
飛び切りのハードコアに仕上がっている。
合間に挟まれていた通常技の攻防も安定しているからこそ、
ハードコアが活きるのは言うまでもなく、その上手さがこのカードにはある。
最後本当は必殺のストリート・スイーパーで締めたかったのに、
只のパワーボムになってしまったのが悔やまれるけれど、死力を尽くした最終決戦。
この二組のカラーを最後まで活かした内容になっているのも良いポイント。
文句無しに好勝負。
評価:****1/4
全体評価:9.5