CWF Mid-Atlantic Battlecade X7 16/12/30

エリック・ロイヤル対アンドリュー・エヴァレット
すっかりヒールが板に付いてきたロイヤル。持ち前のパワーファイトに加え、試合のコントロール力もやはり秀逸。隙のない試合運びを見せる。一方のエヴァレットは飛びまくる。ひたすら飛びまくる。攻撃だけではなく受けでも飛びまくる所がエヴァレット。相手の攻撃をスケールアップさせている。ロイヤルの構築も効いているので、強敵ロイヤルを倒す為に得意の飛び技を打ち続けなければ勝てないという雰囲気を作り出し、エヴァレットの飛び技連発が理に適っていると見せる事に成功している。それをロング・マッチではなく、20分以下の試合時間で、スピード感を保ちながら作り上げたのには天晴れ。共にトレヴァーのライバルではあるが、

この2人でも中々の作品を築き上げた
好勝負。
評価:****

 

CWF MAヘビー級王座戦
トレヴァー・リー(c)対ブラッド・アティチュード

絶対王者トレヴァーに挑む狡猾なベテランアティチュード。トレヴァーの表現力・試合構築力を如何なく堪能出来る試合の一つ。トレヴァーが叙情的に試合を進めれば、アティチュードはチープショットメインで反撃。実力差は歴然なのだが、トレヴァーの流血と凶器使用で何とか反撃する事が出来ている。キャリアがある選手なので、筋を外さないのも良い。武器を使うアティチュードに対し、己の身一つで立ち向かうトレヴァーのヒーローらしさが溢れる展開。ロング・マッチとなってもダレる事なく描いた画通りに進めていくコントロール力も凄まじい。エモーショナルな画作りとエグい腕攻めを両立させるのも腕達者さが光るポイント。ハードコアになってもトレヴァーの試合構築力はハイレベル。見事な好勝負。
評価:****

CWF Mid-Atlantic For The Record 17/9/9


CWF-MAヘビー級王座戦
トレヴァー・リー(c)対

エリック・ロイヤル(w/コーチ・ジムナイ&ジャリー・キャリー)
エリック・ロイヤルが打ち立てた同王座の防衛日数記録560日。前人未到の記録を打ち破ろうとすべく防衛を重ねる現王者トレヴァー。そしてこの王座戦に勝てばその記録を更新することが出来る。そこに立ちはだかるのは、その記録を持つロイヤル。ロイヤルの王者時代にはトレヴァーとの名勝負の末、王座を防衛したものの、トレヴァー政権下では、2度既に破れているが、記録が掛かる試合ではやはりこの人しかいないと白羽の矢が立った格好。2016年の戦いの時には既にヒールとなっていたロイヤル。そこからヒールプレイを突き詰めて、セコンドも手に入れて、ヒール度を増したロイヤル。対するトレヴァーは、絶対ベビー王者として君臨し続けている。序盤からあの手この手を使ってトレヴァーを崩そうとするロイヤル。セコンド介入に場外へのエスケープと徹底的にヒールプレイで試合を進める。それでも動じないトレヴァーに対し、鉄柱へのパワーボムという荒技でペースを握るロイヤル。ヒールプレイ&体躯を活かしたパワー技と鬼に金棒状態のロイヤル。以前程パワーファイトはしなくなったが、ここぞという時の怪力は健在。それでダウン状態になるかと思いきやトレヴァーも簡単にはグロッキーにならず、一進一退の攻防を見せる。十分濃密な前半戦だったが、中盤戦は更にベビー/ヒールのスペクタクル性を増す仕掛けが続出。セコンドのジムナイのパウダー攻撃を皮切りに介入に次ぐ介入で演出面を補強。パウダー攻撃で目が見えにくくなっているトレヴァーが、近づいたレフェリーの両指を折り、反撃したロイヤルのフォールをカウント出来ないというネタは、自身は参戦していない大会ではあるが、PWGでのチャック・テイラー対マーティ・スカールのストリート・ファイトでのネタ。早速取り入れていたのは凄い。介入助太刀が去った後は、再び1対1での攻防。ヒールという厚い皮に隠れていたブルファイターとしてのロイヤルがパワーファイトで後一歩まで追い込むものの、ずっと防衛ロードで見せ続けてきた驚異の粘り腰で粘るトレヴァー。数え歌としてのライバリティーを復活させた上で、クライマックスはとどめのジムナイの介入。試合全編を通して伏線を張っていたネタを回収する数分間も見事。体格的にもセコンド的にも勝る相手であっても、全くぶれない強さを示し続けたトレヴァー。まさに現代版リック・フレアーに相応しい戦いぶり。今までの数え歌とは全く異なるテイストだったが、ハズレなし。トレヴァーの壮絶な防衛ロードにおいても上位に入る激戦。2017年にこの様なクラシカルな激戦を見せてくれるとは素晴らしい。数え歌としてのライバリティー、王座防衛日数記録の掛かる試合、ベビーヒールという大きな3本の柱に、多数の要素を付け加えて作り上げた重厚過ぎる内容の一戦。素晴らしい名勝負。
評価:****3/4