新日本プロレス
THE NEW BEGINNING in OSAKA 2017 17/2/11
NEVER無差別級6人タッグ王座戦
タグチジャパン(c)(中西学、棚橋弘至&田口隆祐)対
ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(SANADA、BUSHI&EVIL)
寄せ集め生え抜きトリオが田口の統率の元に、
コミカルな魅力たっぷりのトリオに変身。
力の抜いた棚橋のファイトは希少価値が高く、中西のパワーも活きてくる。
そしてリーダー田口の雰囲気の持っていき方は秀逸。
対するL.I.Jがシリアスに攻めてくるのでその対比も面白い。
3人揃ってのサブミッションや矢継ぎ早の攻撃と、
上手くトリオマッチであることを活かしきれている。
これならアンダーカードも層が厚くなってくる。
平均的良試合。
評価:***1/4

RPWブリティッシュ・ヘビー級王座戦
柴田勝頼(c)対ウィル・オスプレイ
柴田の世界観・試合構築に踏み込んだ上で自分の魅力を更に加えていく。
世界最高水準の空中技に、細かなレスリングや華麗さに加え、
ハードさも増した打撃と全く持って隙が見当たらないオスプレイの試合運び。
派手な受けで柴田の攻撃のスケールアップも行いながら、超人的な攻撃も見せる。
対する柴田が強引に捻じ伏せなければならなかった程、
進化したオスプレイが躍動。
濃密な攻防を行っていた割に、
クライマックスの厚みが足りなかったのは惜しかったが、
神童オスプレイの並外れた成長ぶりが、堪能出来る好勝負。
評価:****

IWGP Jr.ヘビー級王座戦
高橋ヒロム(c)対ドラゴン・リー
世界を股に掛けたライバルストーリーは遂にIWGPを賭けた戦いへ。
極上のカウンター合戦と過激度が振り切る程
とてつもない場外やエプロンへの投げに飛び技の数々。
今まで紡いできたものを見せつける内容。
質は高い。完成度は他の追随を許さない。
最先端のヴァイオレンス・ルチャというべき危険技達。
本当に生死を賭けたピュア・ヴァイオレンスマッチ。
だがこれはデスマッチではない。
もちろんデスマッチも「生きる」為に死を意識させるような激しい攻防をするものである。
しかし、この試合は通常形式である。そしてここは日本である。
もしアメリカのローカル団体でこの試合をしたら、
MOTY候補として名を連ねるであろう。
けれどもここは日本で、
新日本プロレスというメジャー団体のビッグマッチでセミファイナルである。
限界ギリギリの凄まじい攻防を見せるという意味では素晴らしいが、
マスク剥ぎを利用したストーリー・テリングも霞んでしまっては、
これまでのライバリティーが活かせない。序盤から中盤にあれだけの攻防を詰め込んでは、
どんな攻防をしても終盤にピークを迎えることが出来なくなっては意味がない。
起承転結の流れが歪となってしまった。
だからこそのカナディアン・デストロイヤー連発からの
コーナーへのデスバレーで締めざるを得なかったのだろう。
ここまでの試合をした彼らには最大級のリスペクトはあるべきだが、
これを名勝負にしてスタンダードにしてはいけない。
これ以上は、彼らの選手生命と他のレスラー達に終焉をもたらしてしまう。
この二人ならこの極限の攻防を半分に減らしても、それに替わる攻防は出来るであろう。
もう限界は超えてしまった。
これからは、別の道も模索してほしいと思わせる数え歌の終結。
好勝負に届かない良試合。
評価:***3/4

IWGP IC王座戦
内藤哲也(c)対マイケル・エルガン
序盤はエルガンの驚異的なパワーを印象させ続ける。
終盤に出す様なトぺ受け止め式ブレーンバスターやリフトアップ系も早々に繰り出す。
凌ぎ切った内藤がタクトを握る中盤は定石通り脚攻め。内藤対エルガンでは定番の流れ。
これまでの試合と変わらない脚攻めだが、エルガンも表現を頑張っていた。
終盤からは一進一退。今回も中盤を薄めに終盤を厚くする判断を取る。
エプロンでの投げや場外での攻防も多数飛び出す。
ケビン・オーウェンスも驚きのエプロンへのパワーボムからの
場外鉄柵へのパワーボムを繰り出した後は、
互いにデスティーノとエルガンボムという必殺技も打ち合う。
それに留まらずカウンター用に考案したであろう七色のデスティーノも披露し、
一進一退の攻防を彩っていく。
過激な攻防が続く内容だが、セミと違うのは、
負傷箇所の目と脚攻めで痛めつけた脚の二段式一極攻めが中盤から効いている点。
目を掻き毟るだけでも印象的になる。
それに脚攻めにより下半身がダメになってもなぎ倒せるエルガンの破壊力。
オカダ対ケニーに続き、四天王プロレスに現代プロレス
そしてアメプロ感も強い今の新日本の多様性を体現する内容。
エルガンの底なしのパワーと内藤のハードバンプの親和性も変わらず良好。
最後のスイング式デスティーノは、
他のバリエーションに比べればわかりづらかったものの、
数え歌らしい大熱戦の名勝負。
内藤の懐深さとROHでブレイクした時の勢いが戻ってきたエルガンならば、
ビッグマッチであってもやはり外さない。
評価:****1/2