「とりあえず貯金しておけば安心」
そう信じられていた時代は、もう静かに終わりつつあります。
- 物価は上がっているのに、給料はそこまで増えない
- 預金金利はほぼゼロのまま
- 生活コストだけがじわじわ重くなっていく
このような環境では、
「名目上は減っていないのに、実質的には負け続けている資産」
と、
「値動きはあるが、インフレとともに生き残る資産」
が、はっきりと分かれ始めます。
本記事ではCryptoWorksの視点から、
- なぜインフレ率が「高止まり」する世界になりつつあるのか
- 各資産クラスがインフレ環境でどう振る舞うのか
- どんな資産が“生き残る”側に回りやすいのか
- 個人として、ポートフォリオをどう組み替えていくべきか
を整理していきます。
1. なぜインフレ率は“高止まり”しやすいのか
まず、前提となる環境認識からです。
1-1. かつての「低インフレ・低金利が続く時代」との違い
これまで先進国では、
- 低インフレ(物価はあまり上がらない)
- 低金利(利子もそこまで高くないが、デフレ気味なので許容された)
という環境が長く続いてきました。
ところが現在は、
- エネルギー・食料・賃金など、構造的なコストの押し上げ
- 高齢化や慢性的な財政赤字による政府支出の膨張
- 世界的なサプライチェーンの再編(脱グローバル化・安全保障コストの増大)
などによって、
「インフレを完全に押し戻しにくい環境」
が生まれています。
1-2. 政策的にも「ほどほどのインフレ」を許容せざるを得ない
債務が膨らんでいる国にとって、
- 名目GDPが伸びてくれる(=インフレ+ある程度の成長)
- 実質金利を低く抑えられる(=インフレ率 ≧ 金利)
という環境は、
「債務の実質負担を薄める」
うえで都合が良い側面もあります。
そのため、
- ゼロインフレを必死に目指すというより、
- ある程度のインフレを許容しながら、債務を処理していく方向
に重心が移りつつあると見ることもできます。
つまり、
「インフレ率が完全には下がらず、ほどほどに高止まりする世界」
を前提にせざるを得ない可能性が高い、ということです。
2. インフレ環境で各資産はどう振る舞うのか
ここからは、代表的な資産クラスを、
「インフレ率が高止まりした世界」という前提でひとつずつ見ていきます。
2-1. 現金・預金:もっとも静かにやられる資産
現金・預金は、
- 短期の安全性・流動性は抜群
- いつでも使えて、値動きもない
という意味では頼れる存在です。
しかしインフレ環境では、
- 預金金利 ≪ インフレ率 となりやすい
- 10年単位で見ると、購買力が目に見えて削られていく
という構図になります。
例として、
- インフレ率2〜3%が続く
- 預金金利はほぼ0%のまま
だとすれば、
「毎年2〜3%ずつ、目に見えない税金を取られている」のと同じ
と言えるでしょう。
結論として、
- 生活防衛資金としての現金は必要
- しかし、中長期の資産を現金だけで抱えるのは“静かな自滅”に近い
という位置づけになります。
2-2. 債券:インフレと金利次第で“踏み絵”になる
国債や社債などの債券は、
- 利子収入が読める
- 満期まで保有すれば元本が返ってくる(信用リスクが低い前提)
という意味で「安全資産」とみなされることが多いです。
しかしインフレ率が高止まりする世界では、
- 名目利回り < インフレ率 → 実質的には目減り
- インフレを抑えようとして金利が急上昇 → 既発債券価格が下落
という二重のリスクがあります。
特に、
- 低利回りで長期の国債を大量に持つ
という戦略は、
「インフレによる債務調整のコストを、ほぼフルで引き受けるポジション」
になりかねません。
2-3. 株式:インフレとともに“名目で伸びる”側に回りやすい
株式は、
- 企業の売上・利益がインフレとともに名目で増えやすい
- 価格転嫁ができる企業は、インフレをむしろ味方にすることができる
という特徴を持ちます。
もちろん、
- 急激なインフレや不況では、株価が大きく下がる局面もある
ものの、
- 長期的には「インフレに連動しながら成長する資産」の代表格
と言えます。
特に、
- グローバルに分散されたインデックス(全世界株・先進国株など)
は、
- 特定の国の通貨やインフレに依存しすぎない
- 世界全体の名目成長に乗りやすい
という意味で、インフレ環境との相性は悪くありません。
2-4. 不動産:インフレと“リアルな生活コスト”にリンクする資産
不動産は、
- 土地・建物というリアルな資産
- 賃料という形でインフレをある程度価格転嫁しやすい
ため、
「生活コストの上昇とある程度一緒に動く資産」
としての性質を持ちます。
ただし、
- 金利上昇局面ではローン負担が重くなり、価格調整圧力になる
- 人口動態・エリア・税制の影響を強く受ける
といったリスクもあり、
「どこでも不動産ならOK」という単純な話ではない
点には注意が必要です。
2-5. ゴールド:インフレと通貨不安の“古典的ヘッジ”
金(ゴールド)は、
- 数千年の歴史を持つ価値保存資産
- 通貨が揺らぐ時代に再評価されることが多い
という意味で、
「インフレ+通貨不安」に対する古典的ヘッジ
として機能してきました。
ボラティリティはあるものの、
- 現金や債券と比べれば、通貨価値の希薄化に対して強く出やすい
ため、
- ポートフォリオの一部をゴールドに割いておく
ことは、インフレ環境でのリスク分散として有効です。
2-6. ビットコイン・暗号資産:高ボラだが“通貨システムの外側”にいる存在
ビットコインは、
- 発行上限が決まっている
- 特定の国家・中央銀行に属さない
- インターネット上で24時間取引されるデジタル資産
という意味で、
「法定通貨システムの外側」に位置するオルタナ資産
です。
インフレ率が高止まりし、通貨価値の希薄化が続く世界では、
- ゴールド
- ビットコイン
といった資産が、
- 「通貨そのもののリスク」への保険的なポジション
として注目されやすくなります。
ただし、
- 価格変動が極端に大きい
- 規制・税制・技術的リスクもある
ため、
- ポートフォリオの一部(数%〜)を割り当てる“スパイス枠”
として捉えるのが現実的です。
3. インフレ率が高止まりする世界で“生き残る”資産の条件
ここまでを踏まえて、
CryptoWorks的に「生き残る資産の条件」を整理してみます。
3-1. 条件①:インフレとともに“名目で増え得る”こと
インフレ環境では、
- 名目で増えない資産 → 実質的には減っていく
ため、
- 売上や価格をインフレとともに上げられるビジネス
- 賃料など、生活コストとリンクしやすいキャッシュフロー
- インフレ懸念時に「逃避先」として買われやすいもの(ゴールド・BTCなど)
といった特徴を持つ資産が、
「生き残る側」に回りやすくなります。
3-2. 条件②:特定の通貨に依存しすぎないこと
インフレ率が高止まりするとき、
同時に問題になるのが為替(通貨価値の変動)です。
- 自国通貨だけで資産を持っている → その通貨が弱くなればまとめて削られる
- 外貨・グローバル株・多通貨建て資産 → 特定の通貨の弱さを相殺しやすい
という構図があるため、
「通貨を分散させる」という視点
も非常に重要になります。
3-3. 条件③:政策・税制・規制で“締め付けられすぎない”こと
インフレ+債務の時代には、
- 税制強化(富裕税・キャピタルゲイン課税・相続税など)
- 金融抑圧(インフレ率 > 金利の状態を維持)
- 資本規制(海外送金・外貨取得の制限)
といった形で、
「個人の資産に国家がアクセスしてくる構造」
も強まりやすくなります。
その中で、
- どの資産が最も“狙われやすい”のか
- どの資産が、まだ比較的自由度を保てるのか
という観点も、生き残る資産を考えるうえで無視できません。
4. 個人としての戦略:現実的なポートフォリオ設計
では、インフレ率が高止まりする世界で、
個人はどのようにポートフォリオを設計すべきなのか。
4-1. 戦略①:現金は“防衛ライン”に絞る
現金はゼロにすべきではありません。
- 生活費数ヶ月〜1年分程度の生活防衛資金
- 相場急落時に冷静に動くための余力資金
として、
「メンタルを守るためのベース」
として持つことは必要です。
ただし、
- それを超える部分まで現金だけで寝かせておくのは避ける
という意識が重要です。
4-2. 戦略②:株式・不動産・インフレ連動的な資産を“土台”にする
中長期で資産を守り・増やすためには、
- インフレとともに名目で伸びる資産(株式・一部の不動産など)
を土台に据えるのが現実的です。
- 全世界株インデックス
- 先進国株+新興国株の分散
- インフレ耐性のあるビジネスを持つ企業
などを中心に据えることで、
「通貨とインフレの波にある程度一緒に乗るポジション」
を取りやすくなります。
4-3. 戦略③:ゴールド・ビットコインを“オルタナ保険枠”として組み込む
法定通貨や国債だけではカバーしきれないリスクに対しては、
- ゴールド
- ビットコイン
といったオルタナ資産が、
「通貨システムそのものへの保険」
として機能し得ます。
CryptoWorksとしては、
- ポートフォリオ全体の数%〜多くても10〜20%程度の範囲
- その中で、ゴールドとBTCをどう配分するかは各自のリスク許容度次第
といったイメージで、
「攻めというより、システムリスクへの分散」
として捉えることを推奨します。
4-4. 戦略④:通貨・地域・税制の“組み合わせ”を意識する
インフレ率が高止まりする世界では、
- どの通貨で資産を持つか
- どの国の株や不動産に投資するか
- どの税制のもとで運用するか
といった、地理的・制度的な視点も無視できません。
一つの国・通貨・制度にすべてを預けるのではなく、
- 外貨建て資産
- 海外株・グローバルETF
- 必要に応じて海外口座や居住の選択肢
などを視野に入れながら、
「どこか一カ所が壊れても、全滅しない構造」
を作っていく発想が重要になります。
5. まとめ|「インフレを恐れる」のではなく、「インフレ前提で設計する」
インフレ率が高止まりする世界は、
- 貯金だけに頼る人にとっては厳しい環境
- 一方で、構造を理解したうえで資産設計をする人にとってはチャンスでもある
と言えます。
ポイントを整理すると、
- 現金:短期の安全と生活防衛には必要だが、多すぎると静かに削られる
- 債券:インフレと金利次第では「実質的な負担引き受け役」になり得る
- 株式・不動産:インフレとともに名目で伸びやすい“土台資産”
- ゴールド・ビットコイン:通貨価値の希薄化やシステムリスクへの保険
- 通貨・地域・税制の分散:一つの国・通貨に依存しすぎない構造が重要
インフレそのものを完全にコントロールすることは、個人にはできません。
だからこそ、
- インフレを「外側の環境」として受け入れたうえで、
- その環境の中でも生き残る資産と構造を、自分で選びに行くこと
が必要になってきます。
CryptoWorksでは今後も、
インフレ・通貨・債務・ビットコインといったテーマを、
「一時的な相場観」ではなく「長期の構造と生き残り戦略」という視点から発信していきます。