中国・温州市警察、詐欺グループから約15億円相当の仮想通貨や高級車を押収

 

中国東部の浙江省温州市で、大規模な暗号資産詐欺事件が摘発され、詐欺グループから総額約1億元(日本円で約15.3億円)相当の仮想通貨が押収されたことが明らかになりました。この摘発は中国公安部(公安当局)が公式に発表したもので、詐欺行為に関与した容疑者として10人が逮捕されています。

公安部によると、この詐欺グループは、被害者に対して「仮想通貨HTトークン(Huobi Token)を高利回りで提供する」と虚偽の説明を行い、まず被害者に仮想通貨を指定のウォレットアドレスに送金させるよう仕向けていました。しかし、実際に被害者に送付されたHTトークンは、正規のものではなく、流通市場で取引できない偽物であったことが判明しています。

被害規模は非常に大きく、少なくとも1,300人以上が被害に遭ったとされ、押収された仮想通貨には、世界的に有名なビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)、テザー(USDT)など主要な銘柄も含まれていました。

この詐欺グループは2019年から組織的に活動しており、犯罪行為を効率的に行うために、匿名性の高いメッセージアプリ「Telegram(テレグラム)」上で複数のチャットグループを立ち上げ、あたかもHTトークンが正規に発行されたものであるかのように偽装していました。彼らは「スマートコントラクトによってHTが発行されている」と説明し、投資家たちを安心させる巧妙な手口を使っていたといいます。

被害者の一人によると、「1ETHを送金すれば60HTを受け取れる」という甘い誘い文句で勧誘され、実際に10ETH(現在のレートで数十万円相当)を送金した結果、600HTを受け取ったものの、それらのHTは本物のHuobiトークンではなく、価値がなく市場でも取引できない偽物だったとのことです。

さらに、中国公安部の調査によれば、この詐欺集団は仮想通貨だけでなく、違法に得た資金を利用して高級車や不動産を購入していたことも判明しています。押収された資産には、フェラーリやマクラーレンといった高級スポーツカー、さらには別荘なども含まれており、彼らはバーやナイトクラブに通うなどして、詐欺で得た資金によって贅沢な生活を送っていたといいます。

公安部によれば、今回摘発された事件は、偽の仮想通貨を用いた詐欺事件としては中国国内で初めての摘発例となり、仮想通貨関連犯罪の新たな手口として注目されています。公安当局は、今後も仮想通貨の不正利用に対する取り締まりを強化していく方針を示しています。