■ はじめに:偽テザー詐欺が急増する背景
仮想通貨市場の拡大に伴い、仮想通貨詐欺も急速に多様化しています。特に最近では、世界中で利用されているステーブルコイン「USDT(テザー)」の偽物、いわゆる「偽テザー(偽USDT、フラッシュテザー、フェイクテザー)」を用いた詐欺が急増しています。
偽テザー詐欺は、見た目が本物とほとんど区別できない偽トークンを悪用することで、初心者から上級者まで幅広い仮想通貨ユーザーを狙っています。本記事では、偽テザーの仕組み、詐欺の手法、そしてその見分け方や安全対策について、詳しく解説します。
■ テザー(USDT)とは何か?|仮想通貨の基礎知識
テザー(Tether / USDT)は、米ドルと1:1の価値を維持する法定通貨連動型ステーブルコインです。
Ethereum(ERC20)、Tron(TRC20)、Binance Smart Chain(BEP20)など複数のブロックチェーン上で発行されており、仮想通貨取引所やDeFiプラットフォームで世界的に利用されています。
■ 偽テザー(偽USDT)とは?|本物と何が違うのか
● 偽テザーの正体
偽テザーとは、USDTの外見や名称、シンボルを模倣して作られた偽の仮想通貨トークンのことです。
ブロックチェーン上では「USDT」と表示されますが、発行しているコントラクトアドレスが異なるため、本物のUSDTとは全く無関係の価値ゼロのトークンです。
● 本物と偽物の違い
| 項目 | 本物のUSDT | 偽テザー |
|---|---|---|
| 発行元 | Tether Limited(正規) | 不明な詐欺師や個人 |
| コントラクトアドレス | 公式アドレス | 偽物のコントラクト |
| 取引所での利用 | 世界中の正規取引所で利用可 | 取引所では利用不可 |
| 残高表示 | 正常 | 偽物ウォレットのみ表示される場合が多い |
| 資産価値 | 米ドルに連動 | 実質的な価値ゼロ |
■ 偽テザー詐欺の主な手口
偽USDTをウォレットに送信
詐欺師は、偽テザーをあなたのウォレットに勝手に送信し、あたかも「資産が増えた」かのように見せかけます。
その後「送金したUSDTを受け取るには手数料を払ってください」と騙し取ります。
P2P取引詐欺
個人間で仮想通貨を取引するP2Pプラットフォームで、偽テザーを「本物のUSDT」として売却。初心者がだまされて購入し、他の取引所に送ろうとすると初めて偽物と気づきます。
偽取引所での流通
詐欺目的で作られた仮想通貨取引所やDEXで、偽テザーをあたかも正規トークンかのように取引させるケースもあります。
フィッシング詐欺と連動
フィッシングサイトから偽USDTを送り付け、さらにウォレットの秘密鍵やパスフレーズを盗み取る二重詐欺も存在します。
