■「もう着ない!」から始まる、お風呂上がりの攻防

 

お風呂上がり、パジャマを差し出すと3歳の長女が「もう着ない!」と叫んで裸のまま部屋を走り回る。追いかけて捕まえて、泣きながら無理やり袖を通す。そんな夜が週に何度もあった。長男(6歳)のときはここまでではなかったので、余計に戸惑った。

 

「わがまま言わないの」と叱ったこともある。でも冷静に考えると、着替えを嫌がっているのは服そのものというより、「今やっていたことを中断させられる」「自分の体を人にコントロールされる」ことへの抵抗だったのかもしれない。

 

■着替えを嫌がるのは、わがままじゃなかった

 

調べてみると、2〜3歳前後の子どもが着替えを嫌がる背景には、大きく2つの発達的な理由があるらしい。ひとつは「自我の芽生え」。この時期は自分でやりたい、自分で決めたいという欲求が急激に強くなる時期で、親に服を選ばれる・着せられるという行為そのものが、自分の意思を無視されたという感覚につながりやすい。もうひとつは「感覚の敏感さ」。触覚の感じ方が大人よりずっと繊細な子が多く、タグのチクチクや縫い目の凹凸、着替える瞬間の温度変化を、大人が思う以上に不快に感じている場合がある。

 

つまり「着替えたくない」の裏には、「今のペースを乱されたくない」「自分で選びたい」「肌に触れる感覚が苦手」という、その子なりの理由があるということだった。

 

■実際に効果があった声かけ・工夫3つ

 

❶服を2択に絞って選ばせる

「着替えるよ」ではなく、「うさぎさんの服と、しまうまの服、どっちにする?」と最初から2着だけを見せて選んでもらうようにした。選択肢が多すぎるとかえって固まってしまうので、あえて2つに絞るのがポイント。「自分で決めた」という感覚があるだけで、着替えそのものへの抵抗がやわらいだ。

 

❷「最後の1個だけ手伝うね」で仕上げを譲る

袖を通すところまでは自分でやらせて、最後のボタンや裾を直す部分だけ「ここだけ手伝うね」と声をかけるようにした。全部を自分でやらせようとすると時間がかかりすぎるし、全部を手伝うと本人のプライドが傷つく。「最後だけ手伝う」くらいが、ちょうどいい落としどころだった。

 

❸タグを切り、縫い目の少ない服を選ぶ

感覚過敏っぽさを感じてからは、購入時にタグの有無と縫い目の位置を必ず確認するようになった。もともと家にある服も、気になっていそうなタグは全部ハサミで切った。それだけで「痛い」「チクチクする」と泣く回数が目に見えて減った。

 

■着替えのハードルを下げてくれたグッズ

タグを切るのと合わせて、もともとタグレス・縫い目が肌側に出ない作りのパジャマや肌着に少しずつ買い替えたのも効果があった。

 

 

 

 

■よくある質問

 

Q1. 着替えを嫌がるのは何歳まで続きますか?

個人差は大きいが、自我の育ちが落ち着いてくる4〜5歳頃には和らいでくることが多いようだ。焦らず、その子のペースに合わせて工夫を続けるのが結局は近道になる。

 

Q2. 無理やり着替えさせてもいいですか?

安全や健康に関わる場面(真冬に薄着で外に出ようとする等)以外では、できるだけ本人の「やりたい」気持ちを引き出す工夫を先に試すほうが、長い目で見ると着替え自体への苦手意識を強めずに済む。

 

Q3. 発達障害を疑ったほうがいいサインはありますか?

特定の素材や感触への拒否が極端に強い、他の生活場面でも感覚の過敏さが目立つ、といった様子が続く場合は、自己判断せず、かかりつけの小児科や自治体の発達相談窓口に相談するのが安心。

 

僕自身、着替えのたびに怒っていた頃より、「この子なりの理由がある」と分かってからのほうが、気持ちに余裕を持って向き合えるようになった。今晩の着替えタイムが、少しでもラクになりますように。