《第3回 Chaiさんの世界へようこそ!》

 

 

ということで、Chaiさんにおもいっきり語ってもらいます!

私は……必要かなぁ???

……というか、入り込む余地ありますかね???

ただただ、Chaiさんの世界をお楽しみくださ~い!

 

 

Fanks!!

 

 

※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※  ※

 

 

東映映画『成龍拳』深掘り

 

『成龍拳』の消化不良感を紐解く

~ラストバトル解釈を皮切りに~

 

ジャッキー音楽(映画)音楽研究室

Chai

 

 

【はじめに】

 

『成龍拳』はジャッキー・チェンが主演した武侠映画だが、世間の評価は厳しいものがある。

そして、この作品をファン以上に「失敗だ」とコケおろしているのは、こともあろうかジャッキー本人だったりする。

 

彼は自伝『I AM JACKIE CHAN』の中で、このようなことを述べているのだ。

 

 

「プロットは馬鹿馬鹿しいくらい複雑」「映画を見た人は(映画を見た人には同情するが)なぜ、僕が途中から筋についていけなくなったかわかるだろう」

(ジャッキー・チェン/ジェフ・ヤン,西間木洋子訳,1999年,p.335)

 

 

では、『成龍拳』のプロットはそんなに複雑なのだろうか?

確かに他のジャッキー映画に比べれば、多少話が立て込んでいるかもしれない。

 

この作品は、台湾の武侠小説家・古龍が書いた小説『剣・花・煙雨江南』を基に、原作者本人が脚本を書き下ろしている。

 

古龍という人は、キャラクターの心理や人間模様(兄弟仁義等)に重きを置く特徴があり、『成龍拳』にもその特徴がいかんなく発揮されている。

つまり、ストーリー重視のプロットは「アクションが売り」のジャッキーと相性が悪く、そこが「失敗作」につながった可能性は大いにあるだろう。

 

ただ、ジャッキーは失敗の原因を「プロットが複雑だから」と言っている。

「自分に合わない」ではなく「複雑」だから。

これはどうにも腑に落ちなかった。

 

第一、原作は映画よりもはるかに複雑で、映画脚本はむしろ、設定を大幅に変更し、かなりスッキリとした筋書きに書き換えられているのである。

 

そこで筆者は『成龍拳』の「失敗」が「プロット以外」にも大いにあると推測した。

先に述べた「主演の特性とプロットのミスマッチ」も原因の一つだと思うが、映画を取り巻くさまざまな「背景」が複雑に絡み合い、最終的に『成龍拳』は失敗に終わったという気がしてならない。

 

確かにプロットは重要だ。

映画を見たファンの「わかりにくい」という声は小さくないし、こと、ラストバトルの結末については「消化不良」を訴えているファンが多数いる。

 

 ただ、これが「プロットの複雑さ」ゆえに起きたことかといえば、必ずしもそうではないと筆者は考えている。

 

『成龍拳』を「失敗作」たらしめている「真の理由」はなにか?

もし、いくつもの複合的な理由が折り重なっているのだとしたら、それらを紐解きたい。

 

今回の深掘りは、こういった『成龍拳』に関する「消化不良」を解消し、『成龍拳』が「失敗作」であるという汚名を少しでもそそぐ一助になればと考えている。

 

 

【概要】

 

最初に、このレポートで主張したいことを以下にまとめる。

 

 

①ラストバトル・結末解釈に関する調査・考察

 

『成龍拳』を「失敗作」と評価する理由について「ラストバトルの消化不良感」挙げる者が少なくない。

 

今回のコラボ研究の口火を切った共同研究者・Fanks!!氏もその一人だが、彼の「消化不良」は他のそれとは一風変わったものであった。

 

Fanks!!氏曰く「周囲と自分の解釈が違う」とのこと。

そこで、ラストバトル解釈にどのようなものがあるかを調査したところ、結末(トドメの刺し方)の解釈が大きく2つに分かれていることがわかった。

 

1つは《首吊り説》、もう1つは《脳天直撃説》である。

 

前者は、一部のムック本にも掲載されるほど「定説」とされている解釈だ。

後者は初めて聞く説だという人も多いだろう。

 

Fanks!!氏の説は後者であるが、この解釈が世の中的にはマイナーであることが、彼の「消化不良」の原因になっていた。

 

そこで筆者は、どちらの説が「妥当な解釈か」を調査した結果、《脳天直撃説》が妥当であると主張したいのである。

 

このレポートでは、その主張を根拠を交えてまとめていく。

同時に、こうした解釈違いがなぜ生じたかを考察する。


 

②ジャッキーが抱く『成龍拳』に対する嫌悪感の原因

 

これは、上記調査の過程で知り得た情報から生まれた「副産物」的コラムである。

 

ジャッキーは自伝を出すたびに『成龍拳』をけなすような発言を繰り返しており、彼の『成龍拳』嫌いはもはや、ファンの中では「常識レベル」となっている。

 

ここまでジャッキーが『成龍拳』を毛嫌いする理由がどうにも納得いかなかった筆者は、その答えとなるようなエピソードをこの度入手した。

 

それを踏まえて、筆者の『成龍拳』に対する想いを書き綴ってみようと思う。



【作品概要】

『成龍拳』(原題:『剣・花・煙雨江南』).

原作:古龍『剣・花・煙雨江南』 

監督:羅維/脚本:古龍 主演:ジャッキー・チェン

製作年:1976年

公開:1977年(香港)/1984年(日本/配給・東映)

 

 

 

つづく (本日 23:00公開)

 

 

 

Chai