去る4月8日。


私の大切な方のブログでね、この日が発売記念日、ということで、TM NETWORKの「Get Wild」を扱っていたんですよ!
1987年4月8日、まさにFANKSにとっては、特別な日ですよね。

え?
そういうお前は、まったく触れていなかったよな!、って???

はい、私は1ミリも触れませんでした。
私もFANKSなので、気にならなかったと言えばウソになりますが、私にはそれ以上の日でもあるので。。。
それに、あまり大きな声では言えませんが……私、そこまで「Get Wlid」を……。
ただし、「Get Wild 2014」は別ですよ!

ま、そんな些細なこと (?) はいいとして。
その大切な方のブログを読んでいて、ふと思い出した出来事があったんです。
内容的には全然違うんですけど。
今日はそれを紹介しようと思います。



さ、本題に入るよ!


ちょっと、今日はね、私のことがステキに思えるエピソードで……って、あらら!

もう他のブログに飛ぼうとしているそこの方、お付き合いしてくださいな!
 

仕切り直します!


今日は、私のことがステキに思えるエピソードです(……多分だけどね)。
今から……うわぁ、20数年前になるんだなぁ。

 

そう、時は90年代後半。
私が、家電屋の販売員をやっていた頃の話です。

 

私の担当は、オーディオ・コーナーでした。
丁度、MDなんかが売れてた時でしたかね~。

店頭は、TM NETWORKと小室ファミリーばっかり流れていましたよ(笑)。

で、あれは日曜日の……閉店時間間際だったかなぁ。
つまり……午後8時になろうとしてた頃。。。



「……すいません。このMDコンポが欲しいんですけど」


その小さな声に振り替えると、そうだなぁ、中学1年とか2年生ぐらいの女の子が立っていました。

向かって右側の女の子が声を掛けて来たようでした。

左側の女の子は友達で、買い物に付き合ってる、って感じでしたかね。
二人とも、すごく大人しくて、少し緊張してるのかなぁ~と思えました。


 

「こちらやね。重いけど持ち帰り出来る? 送った方がいいかな?」


実はそのMDコンポ。
某メーカーのそこそこ良い機種の部類に入るモノで、当時の新製品!

税込みで8万円ぐらいするモノでした。
こんな大人しそうな女の子が、こんな凄いの買うの? 
と、少々ビックリしたのを覚えています。
で、そこそこ重量もあったので、配達の手続きが必要だと思ったのですが。。。
その子、私の質問とは全く関係のないことを言ってきたのです。


「……そのコンポを購入したら、〇〇さんのポスターが貰えますか?」


小さな小さな、それこそ私の耳に届くまでに失速しそうな声でした。
で、その 「○○ さん」 なんですが、このコンポのCMをしていた人気アイドルでした。


「特にそんなキャンペーンはやってないけど……」


私は、このメーカーの営業さんと仲が良かったので、そんなキャンペーンがやっているというのなら、私が知らないワケがありません。
ところが、その子たち、私の言葉に明らかに戸惑っています。


「他の店で、そんなキャンペーンやってるの?」


少し変だと思った私は、その子に訊いてみました。
すると、またもや小さな小さな声でこう言いました。


「……はい。店に貼ってあったポスターが欲しくて、店員さんに頼んだんです。

そしたら、このコンポを買えば貰えるって……。

それで、他の店をまわってたら、ココが一番安かったので……」

「ポスターって、あの全体的に青っぽい色のヤツかな?」

「そうです。」


そのポスター、私、知っていました。
宣伝用のポスターで、店によっては貼っていた記憶があります。
それに、私の元にもメーカーから送られて来ていました。
ですが、スペース的に貼るところもなく、物置に仕舞っていたんですね。


「あれは宣伝する為のポスターで、そんなキャンペーンのんじゃないんやけどなぁ」

「……そうなんですか。。。」

「その店の店員、ホントにそんなことをキミに言うたんか?」


 

女の子たちは、少し顔を見合わせてから、


「……はい」


と答えました。

これ、どういうことかわかりますか?
その店員!
自分の売り上げの成績を伸ばす為なのか、店の売り上げを伸ばそうとしたのか、どちらかは知りませんが……その子に、宣伝用のポスターを餌にして高価なコンポを売りつけようとしたってことですよ!


「……そうか。

まぁ、そのポスターならウチにもあるから、オマケで付けてあげることは出来るよ!」


ここで、二人の顔が少し笑顔になりました。
が、その笑顔を見た瞬間、私、スイッチがオンになりました。


「でも、その前にキミに訊きたいことがある!」


もう、私の口調は、お客さんに対するそれではありませんでした!


「キミは、本気でこのコンポが欲しいのか?
それとも、ポスターが欲しいが為に、コンポを買おうとしてるんか?
キミが本気でこのコンポが欲しいっていうなら問題はない。
売ることは出来るし、ポスターもあげることは出来る。
だけど……ポスターが欲しいが為に、コンポを買う、ってんなら売ることは出来ん!」

 

「……。」
 

「どっちや?
キミは本当に、コンポが欲しいんか?
欲しいのは、ポスターだけ、なんじゃないのか?

ポスターが欲しいが為に、不要なコンポを買う って言ってるんじゃないのか?」


私、この時20代半ば。
まだ熱い心を持っていたのでしょう!
もしかしたら、かなりキツイ口調になっていたかもしれません。
その証拠に、その子、少し涙目になっていました。
でも、ココはハッキリさせないといけません!


「……ポスターだけ……です」


女の子は、絞り出すような声で答えました。


「コンポは、不要やな?」

「……はい」


……なんともかんとも。
アイドルの力って凄いですよね。
1枚のポスターが欲しいが為に、不要な、8万円もするコンポを買おうって言うんですから。

 

8万円……きっと、お小遣いやお年玉とかで、一生懸命貯めていたお金だったと思います。
それを思うと、その適当な事を抜かした どこぞの店員に腹が立って仕方ありませんでした。
まぁ、百歩譲って、その店独自でやっていたキャンペーンだったかもしれませんが……相手はまだ中学生の女の子ですよ!
そんな子に、こんな商売はやり過ぎですよね。

私、もうなんだか、その子がすごく可哀想に思えて……。


「……わかった!
ちょっと待っとき」


私はそう言って、店の裏にあった物置へ。
そして、そのポスターを持って、女の子たちの前に立ち、それを少しひろげました。


「このポスターで間違いないな?」


 

その子は静かに頷きました。
私は、持っていたポスターをその子に差し出しました。


「持って帰り。

俺と出逢った記念や!
で、キミもいるんか?」


私は、それまでずっと黙っていた左側の子にも訊いてみました。


「は、はい!」


ビックリしたような声で返事を返してきました。
この子は声が大きかったです(笑)。


「じゃ、これはキミの分な。」


二人は嬉しそうに、私からポスターを受け取りました。
でも、私の気はおさまらず、今度は二人に言いました。


「でも、タダではやらん。

条件がある!

ええか、お金は大切に使わなアカン。
こんなお金の使い方は、今後、絶対にアカンぞ!

俺と約束してくれ!」


私の言葉に、二人は大きく頷いて、


「……はい。

 有り難うございました」

 

と言い残し、笑顔で店を出ていきました。


その去って行く健気な二人の後姿を見ながら……私は思いました。


「……あんな未来の
もっこりちゃんたちをたぶらかすだなんて、そいつは店員をやる資格も価値もない。。。
だからこそ、俺の様な店員が必要なのさ!」


……と。


すっかり夜になった電気街。
Get Wild」のイントロが聴こえたような気がした。

 

 

 

 

 

さ、この出来事!

信じるか信じないかはあなた次第です!

 

 

Fanks!!