白血球が上がってくるまであと少しだと思うのだが、この少しが長い。
相変わらず続く発熱で、頭は痛いし、鼻はぐぢゅぐぢゅだ。
さて、病院内の移動に基づき、4月から俺の担当医が変わっている。
3月までは、担当医(研修医)、指導医、医局長の3人がついてくれていたが、4月からは新しい担当医と医局長の2人になっている。
この新しい担当医が超真面目。
いつも俺のブースに入ってくる際、
『松本さん』
『はい。』
『よろしいですか?』
『はい。』
『失礼します。』
『はい。』
このやり取りの後、もう一度『失礼します。』と言ってから更に2,3秒間があき、ようやくゆっくりとカーテンを開け出す。
『いや、すっと入ってこんかい!!』とちょっと思ったりする。
診察の際も、『では、失礼致します』と、聴診器を両手で支え、ゆっくり胸に当て、目をつぶって耳をすませる。
凄く丁寧なのは勿論ありがたいが、なんだかこっちまで肩に力が入ってしまう。
そういう意味では、前の研修医の先生の方が安心感があった。
あの先生のくれる安心感たるや、何の如くと形容すればいいのだろう。とても同い年とは思えない。
彼にニコっと笑って、『大丈夫ですよ』と言われると、本当に安心する。
こういうのって、才能なのだろうか。
そして彼は、『患者に対する医師の立場』からくる意見よりも、『いち医師としての意見』を言ってくれた気がする。
上の先生であればあるほど、患者に簡単な事は言えない。何事にも可能性というのはあるからだ。
責任の少ない彼だからこそ、気軽に『大丈夫だ』と言ってくれたのだろう。
でも、その『大丈夫』に本当に救われた。
それに彼は少々専門用語が多くなっても、詳しく治療内容を教えてくれた。
おかげで色んな薬の名前を覚えた。
今度の先生の方が知識も経験も上だと思うが、ああ硬くなられると、うーん、やはり物足りない。
やはり医者というのは、知識や技量だけではなく、安心感、信頼感も重要だと感じさせられる。
といっても新しい先生とも、日に日に打ち解けて来ているし、初めはあんまり具体的な話はしてくれなかったが、俺が色々質問につれて、詳しく教えてきてくれている。
なので、今は信頼しています。
何より聴診器をあれだけ丁寧に当てる人、俺の治療の事も凄く真剣に考えてくれているに違いない。
時には、他の先生と胸ぐらの掴み合いになるくらい、真剣に考えてくれているに違いない。
その場面に出くわしてしまったら、どうしよう。
とりあえず、『やめてー、ワタシの事で喧嘩しないでー!!』と言おう。
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