父母恋しや、子守唄。


空が白んじるより早く夜は明けた。明月の残る空を見上げ、かじかむ赤い手に抱く児、可愛いや、可愛い。
されども坊や、どうか黙って眠っておくれ。
明るく優しき夢を見て、その口元に笑みを浮かべて、泣かずに黙って寝ていておくれ。
紅葉の小さき手、握る漆黒、流るる、流る。

哀しき事など無いのだと、辛き事など無いのだと、寂しき事などないのだと、ああ、この手に抱いて囁きましょう。
一人などではないのだと。

ああ、だから。
良い児よ、良い児、だからどうか眠っておくれ。静かに穏やかな夢を見て、泣かずに黙って眠っておくれ。
希望だけを胸に抱いて―幸せで優しい夢を見て、泣かずにどうか眠っておくれ。

背に抱く児可愛いや、可愛い。
良い児よ、良い児。だから泣かずに眠っておくれ。
燃ゆる赤き夕暮れに、思いいずるは遠き日々。
懐かしき故郷。
唄う言の葉響いておくれ。


父母恋しや、子守唄。