―ひとりでご飯食べた。
―電話が何回鳴っても、今の私には何も思えない。孤独に満たされた私の心は簡単に開かない開けない。心の闇は複雑だから。

―また6時くらいになれば切り離して去ってゆく。落ち着いて話もできないまま、また切り離していく。去る者は追わない追いたくないから私は何も言わずに電話を切る。自らつながる糸を切る。

―もう電話も鳴らなくなった。すっかり消えてった。すべて起こることが意味を持つなら教えてほしい。

―食べていない吐き気だけがある。頭痛は後遺症だからしかたない。身体もきてるよね。ボロボロなのもきっと今だけだと願う。
『今は一人じゃないよ。俺いる』―ねえ、そんな言葉で直ぐさま安心できる人間じゃないよ私。そんなに簡単じゃないよ。はい、そうですねってならないよ。なれないよ。都合いい言葉なんか心響かない、要らない。
―気晴らしに携帯にある音楽響かせた。大好きな音楽なはずなのに心はまだ暗闇に取り残されている。これじゃあただのBGMだ。
―結局私はペットの世話だけで自分の趣味は楽しまなかった。DVDも観なかった。パソコンもしていない。この部屋の中から出てはいけない気がした。ひたすら暗闇の中で過ごした。ベッドの上で独り考えては疲れていった。自分はばかだと思う。孤独を繰り返して笑えなくてそんな一日くだらないよね。馬鹿馬鹿しいと他人は言うよね。
―ほんとばかだよね。何の時間だったんだろう。わからない。向こうも同じ気持ちだったとしたらお互い様、しかたないね。

―疲れた。
―またここを調べたのか、探ったのか、常にその不安がある。おかげで不信感がきえない。
―2時間経ってメールがきた。『こむ電源入ってるよね?』って。…入ってる。そのメールを返したすぐあとに電話が鳴り響く。だけど私は電話には出なかった。納得がいかなかった。あれだけ待ってた連絡なのに。納得がいかなかったから。

―私は2時間寝てたから、『ごめん寝てた』とメールをしたけど、謝りもしないんだね。まあ人それぞれだからそれなくてもしかたないのかもね。…笑えない。
―何のためにここにいるんだろう。だれかの役に立つことがしたいけど、こんな弱い人間だれのためにもならないよ。私が存在してる意味は何だろう。だれかおしえてよ。…もしかしたら、ないのかもしれない。私の存在なんて必要ないのかもしれない。私、人に何にもできないし。人ひとり救えやしない、支えにもなれない、ダメな人間だから。
―ねえ、さとみ。今の楽しい時間がずっと続いたとしたら幸せの価値観なくなるよね。小さな幸せも見落として当たり前になってしまうのは絶対に嫌だ。小さな幸せでも気づける人になりたいな。幸せを幸せと呼べる人になりたいな、いつか。