23:22→0:31
そう、あれはちょうど春風が舞う季節の頃、僕は君の手を繋いで桜道を歩いていた。
満開の桜並木がトンネルを作っているその道を抜けると古井戸がある。
「さぁ、此方にきてごらんよ。」
僕の声を頼りに手探りで歩く君。
「桜の根が邪魔するの。躓いて転んでしまうわ。」
そういう君の目には目隠し。違う、目隠しは目隠し。ただ、その両の目は潰れ光はささない。
君との情事の最中に僕が奪った光。君は美しすぎる。
「さぁ、早く此方においでよ。」
君の白く細い腕を掴んで胸に抱く。
ーりん。
と、鈴の音が辺りに静かに響く。
「あぁ君はまだそんなものを付けていたのかい。」
意地悪く、引きつった笑顔を君に向けても君の光を奪ったのは僕だ。
光を失った君がどこかに行ってしまわぬよう、腕に巻いた鈴の飾り。
腕を引いた拍子に落ちた光。
「あなた鈴が、鈴が何処かへといってしまわれましたわ。」
おどおどと光を失った目を隠したまま辺りをきょろきょろと見て回る。
「はは、君よ。ここにあるさ。」
ーりん。
予め拾っておいた鈴を耳元で鳴らしてやるとふっと落ち着きを取り戻す。
「さぁ、早く此処へ。」
再び腕を取り歩みだす。
よろよろと歩く君。
あぁ、君はやはり美しい。
「どちらに行かれるのかしら。」
小首を傾げる君は何も知らない。
情事の最中、その白い乳房に歯をたてると
「あ」
と甘い吐息を洩らす君は美しい。
「さぁ、此処へ腰を掛けて。」
古井戸の縁に腰を掛ける君。
役目を終えた古井戸は苔蒸して君の美しさが一層際立つ。
黒く長い髪が赤の地に蝶の舞う着物に掛かるその様は蜘蛛の巣に捕まる哀れな蝶。
白い首筋、妖艶。
整った顔、その目には黒い目隠し。
紅を指した唇はふっくらと微笑みをたたえている。
「あぁ、君は美しい。」
思わず呟いた僕の頬に冷たい君の手が触れる。
無言の時。
「何故、泣くの。」
気が付けば僕の頬を伝う涙。
生暖かいそれが君の手に触れる。
「君が美しいから。」
耳元で囁いてやると小首を傾げる。
僕は最後の最後に彼女の首筋に、その白い首筋に口付けをして言った。
「壊してしまいたくなるのだよ。」
そうして両の肩を
ーとん。
と、押してやると君は静かに闇に呑まれてしまった。
落ちてゆく君は赤い蝶で、美しいまま闇に呑まれた。
この文章をみて、何かを感じた人は↓
この文章をみて、あ、この人狂っておるお(^ω^ )って思ったら↓
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「さぁ、此方にきてごらんよ。」
僕の声を頼りに手探りで歩く君。
「桜の根が邪魔するの。躓いて転んでしまうわ。」
そういう君の目には目隠し。違う、目隠しは目隠し。ただ、その両の目は潰れ光はささない。
君との情事の最中に僕が奪った光。君は美しすぎる。
「さぁ、早く此方においでよ。」
君の白く細い腕を掴んで胸に抱く。
ーりん。
と、鈴の音が辺りに静かに響く。
「あぁ君はまだそんなものを付けていたのかい。」
意地悪く、引きつった笑顔を君に向けても君の光を奪ったのは僕だ。
光を失った君がどこかに行ってしまわぬよう、腕に巻いた鈴の飾り。
腕を引いた拍子に落ちた光。
「あなた鈴が、鈴が何処かへといってしまわれましたわ。」
おどおどと光を失った目を隠したまま辺りをきょろきょろと見て回る。
「はは、君よ。ここにあるさ。」
ーりん。
予め拾っておいた鈴を耳元で鳴らしてやるとふっと落ち着きを取り戻す。
「さぁ、早く此処へ。」
再び腕を取り歩みだす。
よろよろと歩く君。
あぁ、君はやはり美しい。
「どちらに行かれるのかしら。」
小首を傾げる君は何も知らない。
情事の最中、その白い乳房に歯をたてると
「あ」
と甘い吐息を洩らす君は美しい。
「さぁ、此処へ腰を掛けて。」
古井戸の縁に腰を掛ける君。
役目を終えた古井戸は苔蒸して君の美しさが一層際立つ。
黒く長い髪が赤の地に蝶の舞う着物に掛かるその様は蜘蛛の巣に捕まる哀れな蝶。
白い首筋、妖艶。
整った顔、その目には黒い目隠し。
紅を指した唇はふっくらと微笑みをたたえている。
「あぁ、君は美しい。」
思わず呟いた僕の頬に冷たい君の手が触れる。
無言の時。
「何故、泣くの。」
気が付けば僕の頬を伝う涙。
生暖かいそれが君の手に触れる。
「君が美しいから。」
耳元で囁いてやると小首を傾げる。
僕は最後の最後に彼女の首筋に、その白い首筋に口付けをして言った。
「壊してしまいたくなるのだよ。」
そうして両の肩を
ーとん。
と、押してやると君は静かに闇に呑まれてしまった。
落ちてゆく君は赤い蝶で、美しいまま闇に呑まれた。
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