その昔、まだ若かった頃の仕事は超絶に忙しく、まとまった休みなど取れることもなく、ほとんど家にいなかった。


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不満を持っていた妻は、出張先に旅行も兼ねてついてくるようになり、出張先で一緒に過ごすことが多くなっていた。



そして、梅田のホテルに泊まった時のこと、チェックインして部屋に入ると、

『うん?首が痛い・・・』


そこで、ピンときた。何かあった場所だ。


首の痛さを妻に悟られないように振る舞い、すぐに外に食事に出ることにした。本場のたこ焼きを2人で食べたり、お好み焼きを食べたり、楽しく過ごしたのだが、どうしてもあの部屋に帰る気になれないでいた。


妻、
「ねぇ、もう疲れたよ。帰ろうよ〜。」

御堂筋辺りをウロウロするにも限界がある。妻の言う通り、帰ることにしたのだが、やはり、気分が重い。部屋に帰ると、すぐにお風呂に入り、ベッドに横になる。


しかし、気分がどうしてもエロいモードに切り替わらない。ベッドの中で妻は抱きついてくるし、キスもしてくるが、息子くんに力が入らなかった。


首の痛みが和らいできた時、妻の方を見ると既に寝息を立てていた。この勢いで俺も寝よう!
頭の中を空っぽにして、とにかく寝付くために無心になった。そして、いつしか眠りについた・・・


どれくらい寝たかわからない。急に頭に衝撃を受け目を開けようとしたら、今度はほっぺたに激痛が走る。


びっくりして目を開けると、鬼の形相の妻が今にも飛びかかりそうな勢いでファイティングポーズをとっていた。

「くみこって誰よ!くみこって女と浮気してたんでしょ?寝言で女の名前を呼ぶくらいだもん。私なんか抱く気にならないよね!あんたは最低だよ!」


は?寝言で女の名前を呼んだ?なにごと?

俺、
「ちょっと待って!夢も何も見てないよ。本当に名前を俺が呼んだの?」

妻、
「この浮気者!!ぶっ殺してやる!」

真面目に知らない名前だ。本当に知らない。無意識に名前を叫んだのか?寝ている俺が本当にそんな名前を叫んだのか?


朝方まで妻をなだめ、なんとか落ち着かせる。良い加減つかれてしまったのもあるが、妻の攻撃は止まった。


仕方ないので、この部屋に入った時に感じた違和感や雰囲気を妻に伝える。首が痛かったことも正直に伝えると、

「気のせいかな?って自分に言い聞かせてたけど、iceちゃんも感じてたんだ。言ってくれれば良いのに。」


額縁の裏や机の中、鏡の裏も見てみたが、お札や魔除けは見つからない。やはり、思い過ごし?


そのまま朝まで寝る気にもなれないホテルだったので、すぐにチェックアウトすることにした。すぐに他のラブホに入り、イチャイチャして、今度は平和に眠れることになったのだが、目が覚めてテレビをつけると、

『JR大阪駅近くのホテルで毛布に包まれた女性の遺体が発見されました。遺体には首を絞められたような跡が残っており、警察は殺人事件として捜査を進めています。』


テレビの中に映るホテルは、今朝チェックアウトしたホテル。部屋までは放送されていなかったが、まさか死体があのホテルに有ったとは。


妻が、
「もしかして、泊まった部屋?あのマットレスの下にこの人隠されてたの?」

俺、
「まさか〜!違うよ。絶対に違う。そう思いたい。」



その後、遺体の身ともが判明したが、『くみこ』ではなかった(笑)
誰のことを叫んでたんだろう?謎です。


くみこさんに心当たりのある方はDMをお待ちしています。