海城の配点は国語と算数が120点、
理科と社会が80点。
時間は国算が50分、理社が45分です。
配点や時間から言っても、
国算の2教科が得意な子に向いているように見えますが、
ちょっと違います。
理系科目ができる子が断然有利です。
合格者平均と受験者平均で見てみると、
算数は毎年のようにほぼ15点差がついています。
いっぽうの国語は10点差以内。
7点差なんて年もあります。
国語では大差はつかないのです。
社会にしても大問が1題で記述が4題ですから、
中学受験としてはかなり特殊です。
暗記くんや歴史オタクなどは不利。
社会はグラフが読み取れて、
一般常識があれば解ける問題も多いです。
言ってみれば、
受験勉強していなくても、
常識ある大人ならふつうに解ける問題です。
さておき、
国語で差がつかない理由をみていきます。
まず選択肢が4択。
選択肢の文も長くないですし、
誤答を消しやすいので消去法だけでもちゃんと解けます。
次に記述は全体で2問か3問。
60~80字といった感じで字数に幅があり、
設問自体に縛り(ヒント)もあります。
2016第一回の大問2の問11:
「私はそのような人物の登場する小説のほうが好きだ」
とありますが、なぜ好きなのですか?
「そのような人物」の指し示す内容を明らかにしつつ、
100字以上120字以内の一文で書きなさい。
(角田光代「世界は終わりそうにない」より)
「どういう人物かを明らかにしろ」なんてヒントは、
普通は出ません。
指示語を「開く」のは常識ですから。
100字以上書いていない場合、
あるいは一文になっていないといった場合、
0点の可能性はありますが、
「ふつうに書けば部分点がもらえる」という感じでしょう。
100字というとウッとなりそうですが、
字数を縮める必要がないので、むしろラクなはずです。
2017第一回の大問2の問7:
「なんだかつらい話だ」とあるが、
現在の子供がつらい状況におちいってしまったのは、
「かつて」と「現在」とで、
夢と現実との関係がどう変わってしまったからだと、
筆者は言っていますか?
(60字〜80字:小田嶋隆「13歳のハードワーク」より)
(前回の記事:「転換期を生きる君たちへ」所収)
答えの道筋まで書いてくれています。
開成とか渋渋あたりなら、
「筆者は何がツラいと言っているのですか?」
と放り出してきそうなところです。
海城は親切です。
「かつての子供は〜だったが、
現在の子供は〜に変わってしまった(からだ)」
という感じで比較して、
「夢」と「現実」との関係が変わった様子を、
本文に書いてある通りに書けばいいわけでした。
じゃあ海城の国語は対策をしなくていいのかと言われると、
さすがにそうはいかないです。
大きく分けて問題が二つ。
1「文章が長い」
論説は3000字前後なのですが、
物語は6000字くらいです。
平均が1分で600字、速い人で1,000字と言われています。
物語を読み終えるのに10分はかかるかもしれません。
少しでも早く読み終えた方が有利は有利です。
あまり速くない子は、
「読みに10分かけても間に合うかどうか」
過去問で確認しましょう。
2「設問が多い」
選択肢や記述はラクだと言っても、
設問はたいてい10問以上あります。
記述以外は1問1分で解けますが、
記述1題に5分かけられるかどうかは微妙です。
ということで、
対策を一言で言ってしまえば、
「海城はスピード勝負」。
スピードはほぼ勉強量に比例するので、
結局ある程度はやっていないといけないわけでした。
目標点は120点中80点です。
(ハイレベルな争いだった2015を除く)。
ただ海城志望で算数ができる子の場合、
あまり難しい塾の国語や模試の問題には手を出さず、
国語は過去問に絞ってしまうという手はあるでしょう。
逆に、
「この時期に、すでに国語は完成している」
という子が(あまりいないでしょうけど)、
「海城に行きたい!」
となった場合、
多少は偏差値が届いていなくても、
算数が解けるかどうか確かめてみるのはいいと思います。
国語は苦労せずに解けるはずですし、
社会の記述も得意でしょうから。
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