政府が音頭をとって、毎月末の金曜日に午後3時あがりとして、働きすぎの防止と消費活性化をねらいとしている。
でも、現実、ごく一部の会社を除いて、無理。アンケートでも、導入する、と回答したのは、全体の1.7%しかいない。導入検討しないと答えた会社は8割にもなるのだ。
勤労者だって、仕事量が減らないのに月末金曜だけ午後3時にあがっても、定時なら午後6時まで3時間あるわけだが、その3時間でこなせた仕事を他の日でこなさないといけなくなり、他の日で3時間残業を増やすことになるのだ。残業が増えるくらいなら、金曜も午後6時まで仕事して帰るほうが良いに決まっている。
仕事量が3時間分根本的に減らない限り、定着するわけがないのだ。こんな簡単なロジックも発案者は考えなかったのかとあきれてものがいえない。そもそも、会社と労働者は、1日8時間働く事を基本としている。午後3時上がりは、8時間に対して3時間不足するわけで、いったいどういう扱いにするのだろうか? 8時間働いたとみなす会社などないだろう。となれば、3時間欠勤扱いであろう。となると、給料から3時間分の賃金が差し引かれることになるのだ。つまり、給料が下がるのだ。そんなの誰だっていやに決まっている。
ならばどうするか?
有休で、半日有休休暇をとる、という方法だと、有休なので賃金は減らない。でも、それなら午後1時にあがったほうがよいわけで、たった3時間のために半日有休をとるのはもったいないのだ。しかも会社全体で取得するって現実、ありえるのか? それこそ、取引先との関係はどうなるのか?
顧客会社が午後6時まで仕事をしていたら、自分のところだけ午後3時で終わりますってわけにはいかないだろう。相手が特に大口顧客だったら、そんなことできないだろう。大変失礼にあたるのだ。
日本全体で月末金曜日が全業種で一斉に午後3時で終業すれば話は別だが、客商売、病院、窓口業務、接客業など、金曜午後3時から休みに出来るわけがないのだ。製造業だって、工場で1日何個生産する、という計画を立てているのに、3時間分生産停止して、取引先にちゃんと納品できるのか? 生ものだったら、作り置きもできないだろう。
なので、全業種で一斉に金曜午後3時上がり、なんて非現実的で無理だ。これこそ、絵に描いた餅ではないか。役人の思いつくことは、この程度だと改めて感じさせられた。
ではでは。