疑惑の米粒。(ネタバレ有) | よく躓く人生。

疑惑の米粒。(ネタバレ有)

『アンディ・ラウの麻雀大将』。

ご陽気なお正月映画である。

タイトルに『○○の~』とつく映画はヘッポコだという定説があるが、その限りではない。


…いや…オイラの基準が人とは違うのか?

てかヘッポコでも大概OKだし。


………俺は採点が甘いそうだ…………。



…で、ヘッポコじゃない『麻雀大将』。

元々はこれ、全く違う話になる予定だったそう。
平たく言っちゃえばガールハント(死語)もの。

でも、当初のヒロインの事故で急遽変えた話が…コレかいっ!!

すげー面白いぢゃん!!

実はオイラも猫仔も麻雀は全然解らないのだが、それでも十分楽しめる逸品。

香港の雑誌でこのポスタービジュアルを見た時、即座に

観たい!!

と思った。


だってこのチンワンですよ!?

垂れ流れる愛くるしさ。

茶目っ気。

食いつかずにいられようか。

現地盤DVDが出るのを待って即、GETしましたとも。

期待外さず、面白かった。日本語字幕がなくたって。

勿論、映画祭で来た時も行きましたともさ。

オールナイトはハードだったけど。


先日、猫仔が田舎から戻る時に、

観たいのあったら、オイラの部屋からDVD持っておいでよ。

と言ったら、麻雀大将とか柔道龍虎房とか新世紀Mr.BOOとか…
猫仔、もしかしてブームなのか?古天楽。
ルイス・クーでも、ぐーてぃんろっ、でもなく我々の間ではこてんらく

てか麻雀大将間違えて現地盤持ってきてるよ。
日本盤はこっちにあるのにさ(笑)

そんな流れで先日これを見直した訳だが。

全編通してBGMはウェスタン調。

カッチョイイ。

レイモンド・ウォンは暗戰といい少林サッカーといい、ドラマチックな音楽で盛り上げてくれる。

燃える。

その曲に乗って、大三元だ十八羅漢だ国士無双だ、アンディ(主人公名)の華麗なる麻雀技が炸裂する。

実は彼には、麻雀で身を持ち崩し、借金まみれになって家族を置いて逃げた過去がある。

そんな哥哥と麻雀を憎む弟ルイス(役名)は真面目に学業に励み、M.I.Tを卒業。一流企業に就職し、今や高給取りのエリート様。
イイおうちに住んで、ボケた母の面倒を見る孝行君である。

ボケた母ちゃんは、ある日、写真立ての中の男に気付く。

「これは誰だい?」


アイドル時代のアンディ。

若い。

ぱつぱつ。

3000年ストライク。

腹がよじれた。


母ちゃんは出前を注文する為に電話する。

絶縁していたアンディに。

ああ、感動的な(結構マジ)生き別れだった親子の再会。

その時!!

弟の会社が潰れ、家は差し押さえられる。

でも大丈夫。

今のアンディは、麻雀で稼いで大豪邸に住んでいるから。

真面目に頑張ってきた弟は、なぜか母ちゃんに説教されてしまう。

人生なんてそんなもん。
人間なんてららららら~


僕は真面目に働きます。

仕事を探すルイス君は、麻雀サギ軍団にカモられてしまう。

サギ軍団、なぜかラッパーズ。

ラウ(チンワンの役名)のパパは王天林だ。

丸い往年の名監督。

役者でイイ味出しまくりだ。

遅くに生まれた息子を溺愛し、わがまま放題に育ててしまった背景が見える様だ。


そんな父親に何かというと

パパ~~!!!

と縋り付くチンワン(38さい)。

人の物を何でも欲しがる困ったちゃん。

チンワン本人の演技もナイスなのだが、吹き替えの声優さんの演技もまたイカす。

とにかく可愛いんだ、これが。

「俺のキライなスーピン」

の言い方がホントに愛らしい。

あ、でも剥ぎ取った古天楽の服を着て、ビジネスマンを気取る所は原版の方が可愛いかな。


そんなチンワンことラウは、弟の敵討ちに乗り込んだアンディとの対決に負け、以後、彼から何もかも奪ってやろうとつけ狙う。

家も、金も、称号も、女も。

そう、アンディにはウェンディという彼女がいる。

彼にツキを与えた健気で一途な勝利の女神。


だがいいのか?ラウ。

彼女、演じているのはジジだから、見た目は可愛いが獰猛だぞ。

すぐキレるぞ。

ゴミは窓からぶちまけるぞ。

ついでに胸は上げ底だぞ。


それでもいいんだ、他人のものだから。


ウェンディは結婚に頷かないアンディにキレ、彼を呪った揚句、あてつけにラウと付き合ったりする。


呪いの成果かツキに見放されたアンディは家も取られ、ボロ負けの日々。


しかし一度ドン底を見た人間は強い。

すでに悟りを開いたかの様なアンディの演技が神々しい。

貧乏生活にクサる事なく、負けをもエンジョイする彼は、荒むウェンディに、勝負の楽しみ方を伝授する。

勝負、これすなわち自分との戦い。

自分を磨けばおのずと勝負強くなると、負け麻雀を楽しむ二人の姿は感動的ですらある。


一方、地道な努力が認められ(良かったね)開発した麻雀ゲームを日本の企業に買い取られた弟。


その記念イベントとして、麻雀のトップを決める為の大麻雀大会が催される。

再びウェンディによってツキの戻ったアンディ。


勿論、対するはサギ軍団。

"麻雀大将"の栄光はどちらの手に!?


勝負の行方は米粒だけが知っている。



ラストは黄飛鴻よろしく、海岸で麻雀の特訓だ。

主題歌も『男兒當自強』 の替え歌だ。

いいな。

これ、覚えたいな。



ところで、この映画でオイラはいくつかの広東語を覚えた。

「食」の使い方とか「お姑御さん」とか。

教科書だけで見るより解りやすい授業がここにある。



さて、コンビニに荷物を出しに行ったらレジにこんなチロルチョコが!!

思わずゆかりの深い牌を買ってしまった自分がそこにいた


…スーピンほしかったな(笑)



因みに自らは食べず、猫仔にあげてしまった俺。