哀惜ぷりん。 | よく躓く人生。

哀惜ぷりん。

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昨日ね。

見たんだわ、会社帰りに。


オイラが電車を下りると、酔うた数人の男女がな、駅のホームではしゃいどった。


危ないからやめなさい。


まあ、会社帰りにみんなで飲みに行って、ご機嫌だったんだろうな。

羨ましくない(マジで)。

あ、でもご機嫌なのは羨ましい。


で、その中の一人の男性が、手に駅コンビニで買ったとおぼしきプリンを握っていた。


オイラが階段を上り始めた頃。

発車の合図が。


彼らは慌てて電車に駆け込もうとしたが、間に合わないと悟って諦めた。

だが、不屈の男が一人。

プリン君。

彼は果敢にドアに向かってツッコんで行った。

左手がドアに挟まれた。

電車のドアが一度軽く開く。

彼に手を引き抜かせようと。

しかし彼は強引に、その隙間に体を押し込んだ。

見事に真ん中で挟まれた。

周りの仲間達がドアをこじ開けて、彼を救出しようとする。

彼の鞄はホームに放り出され、ちょろりと中身がはみ出ている。

何だかわからないがやや悲惨な光景だ。

そして仲間達が、彼を引っ張り出したその時。


左手に握られていたプリンが。


車内に落ちた。


そして彼という障害物を挟んで尚、閉じようと頑張っていたドアは、力余って勢いよく閉まった。


ぷしゅ~っ…


という溜め息の後。


電車は走り出した。


プリンだけを乗せて。


残された彼らが何やら騒いでいる。


それを背中に、オイラは階段を上り続けた。


この間、1分ちょい。


長く感じた。


彼はあの後どうしただろう?

そしてプリンは。


どっちかっつーとプリンの方が気になる。


遺失物として届け出られるのだろうか?



そして、今日は今日で、信号待ちの時、ふと見ると、お立ち台の上に、一人たこ焼きを乗せた舟が一艘。


落としてしまったとか、そんな感じではない。

綺麗な状態だ。


食べ切れなかったのだろうか?

それとも信号待ちの間置いといて、そのまま忘れてしまったのだろうか?


明日にはなくなっているだろうか?


悲しいたこ焼き一人ぼっち。


これから世間の荒波へと漕ぎ出すのだろうか?