ある日のこと。
子犬たちの父親はうちの犬だ、という人が現れました。
「うちに連れてきて」
メリーたちを飼ってくれるんだ。私たちは思いました。だから喜んで犬たちを連れて行くことにしたのです。

その日は習い事か何かだったのでしょう。私は一緒に行くことはできませんでした。友達二人がそれぞれムクとクマを抱っこし、その横をメリーが心配そうについてきたそうです。

戻ってきた友達は怒っていました。
ムクとクマを彼女たちから受け取ると、その人はこう言ったのです。
「親犬の始末はお願いね。」

その日から何日も経たないうちに、メリーは姿を消しました。
私は、メリーが保健所の人たちに追われる姿を想像して泣きました。
無力な自分が情けなくて、悔しくて泣きました。
メリーに申し訳ないことをした。悲しくて怖い思いをさせてしまった。友達にも嫌な思いをさせてしまった。メリーを最初に見つけたのは私なのだから、メリーのことも、子犬たちのことも、私が責任を持たなければいけなかったのに…。

子犬たちが引き取られたのはせめてもの救いだった、今ではそう思えるようになりました。
けれどメリーについてのトラウマは、ずっと残っています。たぶん、これからもずっと。

ねえ、クルトン。あなたのことは最後まで守りきれたと私は思ってるよ。
家族になると決めた瞬間に誓ったから。何があっても絶対に守ると。
でもね。
あなたを守れたからといって、メリーを守れなかった事実は変わらない。帳消しにはできないし、しちゃいけない。そう思うんだ。
だからね。こうして時々、あなたを思い出すときに、メリーのことを考えて泣いてしまうことを許してほしいの。
だって、あなたの目はメリーの優しい目にそっくりだったから。