武漢での中医薬病院では、午前中に外来診療や病棟での研修があって、非常に勉強になったのだけど。
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さらに午後からは、梅先生からの講義があった。
梅先生は70歳を超える老中医(名漢方医のこと)で、バリバリの現役として診療にあたられている。
言葉も力強くて、エネルギーにあふれていて、とても70歳とは思えないパワフルさ。
基本を大切にされていて、しかもものすごく繊細に生薬のひとつひとつの特性に基づいて、一人ひとりの患者さんにあわせた細かい使い分けを丁寧にされている。
その講義は感動レベルだった。
武漢は長江と漢江の合流地点に発展した街で、まわりに湖もとても多い。
盆地ということもあって、湿気がとても高く、夏は暑く、冬は寒い。
実際に滞在中は毎日湿度90%前後だったのだけど、湿度の高い日本の気候に近いと思う。
この湿気が多いのは、人間の体に大きな影響を与えていて、この武漢で問題になるのは「痰湿(たんしつ)」の問題。
痰湿とは漢方独特の考え方だけど、わかりやすくいうと痰湿=体内に毒素やヘドロがたまった状態のことをいう。
痰湿が体にたまると、さまざまな病気が引き起こされてしまう。その原因となるのが胃腸の弱り。
胃腸が弱ると、体のめぐりが悪くなり、悪いものがたまりやすくなる。それが毒素やヘドロになると考えるとわかりやすいかな。
湿気が多いと、さらにこの痰湿が悪化しやすいんだよね。
だから、
まず胃腸を元気にして、毒素やヘドロを取り除き、体の自然治癒力を正常化する。
その上で病気に対応した治療を行っていく。
ということを強調されていた。
これはぼくが大切にしている治療原則と同じだったもんだから、もう我が意を得たり!
って感じで、感激だったわけ。^^
もともと胃腸の弱い日本人は、胃腸の弱りから毒素やヘドロがたまってトラブルを起こす傾向が強い。
だから、『血流がすべて解決する』の中では、まず胃腸を元気にする夕食断食から話をスタートしてるし、次の新刊のメインテーマがこの内容なんだよね。
胃腸が弱ると血が作れなくなるだけでなく、体に毒素やヘドロがたまるんだよ。
なので、さらに感動!
ほら!
中国の名医と同じことしてるやん!(≧▽≦)
って。
やっぱり、夕食断食は大事だよー。
体調悪い時は、胃腸を休ませるって大事だよー。
梅先生は、婦人科が専門の名医なのだけど、この痰湿が引き起こしてしまう婦人科トラブルの代表として挙げられたのが
盆腔炎。
日本名だと、慢性骨盤内炎症。
慢性的な炎症が骨盤内に起こってしまって、痛みが出たり癒着を引き起こす。
これが悪化したものが、卵管の癒着や子宮内膜症、子宮腺筋症といった炎症性の疾患になると考えられてる。
病気まで行ってなくても原因不明の痛みや不妊の原因を引き起こしてしまう。
逆に言うと、胃腸を元気にして、毒素やヘドロの発生を止めて、自然治癒力を良くしないと、こういった病気が改善しない。
西洋医学的な手術をしてもまた再発することが多いけど、それには、病気が発生する体質そのものが解決してないから。
子宮内膜症のあるひとは、断食をすると症状がよくなることがわりとある。
これは、胃腸が休まって、体内の毒素やヘドロが減ることで、自分の自然治癒力で子宮内膜症を改善していったと考えられるんだよね。
ただし、安易に本格的な断食はしないでほしい。
体重と婦人科の病気の関わりは深いから、低体重のひとが本格的な断食をすると状況が悪化することもある。
なので、断食は専門家の指導のもとでしてね。
とにかく胃腸を良くすることを治療の根底に置かれてた。
漢方薬も、まずは胃腸の状況を良くするものを使う。
専門的になるからここでは省略するけど、代表的な4種類の胃腸の漢方薬を細かく説明された。
その4つの漢方薬がそれぞれ、どのような違いがあって、どうしてそのような生薬の組み合わせになっているかを、処方の成り立ちから丁寧に教えていただいた。
めちゃくちゃ感動・・・
そういう見方や使いわけの仕方があるのかと衝撃。
体内の痰湿(毒素やヘドロ)の状態にあわせて、細かく漢方を使い分けていかれる。
もうひとつ目安になるのが、冷えとおりもの。
やはり胃腸を元気にしていくことが大事。
そして、炎症があるからといって、冷やし過ぎてはいけないし、なにも解決しないということも強く言われてた。
漢方でも炎症止めがあるんだけど、これは冷やす生薬がいっぱい入ってるんだよね。
西洋医学でも、痛めどめを使いすぎることが決してよくないのと同じ。解熱鎮痛薬だから、冷やしちゃうでしょう?
(ただし、痛い時は痛み止め飲んでね。痛み止めを飲まずに我慢するのは本末転倒。痛みが出ないように体を整えることを大切にして)
婦人科の炎症の場合は、
あたためて、毒素を取り除く方法をしなさい、と。
なので、これからの時期は、冷えを取ることってやっぱり大事。
おまたカイロでもいいし、
おなかのへそ下と背中の仙骨の両方にカイロを貼るカイロサンドイッチでもいいし、冷やさないようにしてね。
梅先生の外来診療も見学させてもらったんだけど、すごく丁寧に問診を取られてた。
こんなに時間をかけて診てくれる漢方医も中国では少ないんだって。
でも、講義の内容と、その問診の内容が合致して、すごく納得。
めちゃくちゃ参考になって、ぼくもすぐに取り入れられる内容でテンション上がる♫
漢方の本場でしっかりパワーアップして帰ってきましたよん。^^
つづく
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