星の林に月の船 | 堀江昭佳オフィシャルブログ「『こころ』と『からだ』の悩みを解決する しあわせ女子のための処方箋」Powered by Ameba

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婦人科漢方専門・子宝のスペシャリスト 堀江昭佳が、西洋医学、漢方、心理学の3つの視点から、こころとからだの悩みを解決する方法をつづります。
「からだを整えるとこころが整い、結果的に夢が叶う」
そんな考え方を大切にしています。

お気に入りのbook cafeがあります。

松江市上乃木の丘の上に建つdoorさんが、そこ。



大きな木の扉があって、

中に入ると、

それはそれは、すてきな空間が広がります。

建物も、

本も、

家具も、

雑貨も、

ひとつひとつがとても味わい深くて、

なによりもオーナーさんんが醸し出す空気がすてきなのです。



で、doorさんで一冊の本を見つけました。



星の林に月の船 / 大岡 信 編


「何度も口ずさんで、五七調のリズムのよさ、

ことばのひびきを楽しもう。

時代をこえて脈々とうたいつがれてきた和歌や俳句。

季節やくらしを題材にした美しい表現やユーモラスな感受性の宝庫から

194作を選びました。」


という小学5・6年以上を対象にした本です。


万葉集から現代まで

いろいろな時代の作品が集められています。

けっこう万葉集の短歌って好き。

まっすぐでストレートな表現がすっと心に入ります。




タイトルにもなっている短歌が


天の海に 雲の波立ち 月の船

星の林に 漕ぎ隠る見ゆ

                 (柿本人麻呂歌集)

「天は海。雲はその海に立つ波。

三日月の船がそこを滑って星の林に漕ぎ隠れてゆく」


万葉集の時代とは思えないくらい

感性が現代的というか。

情景を思い浮かべると、

なんだかゾクゾクします。

詠んだ季節はいつかわからないけど、

意外と今頃、凛とした冬の夜の空気の中かもしれないなーと思ったり。



聞いたことがあったり、

知っていたりする句が並んでいて、

大岡さんの解説がついているのですが、




一番最初に載せてある二首がまた、

いけずというか、なんというか。

小学5,6年生向けの本なのに。



あかねさす 紫野行き 標野行き

野守は見ずや 君が袖振る

   
            (額田王)


紫の にほへる妹を 憎くあらば

人妻ゆゑに 我恋ひめやも 

  
             (大海人皇子)


「茜色に照り映える紫野をゆき、御料地の標野をゆき、

なんと大胆なふるまいをなさるの。野の万人が見とがめないでしょうか、

私に袖を振るあなたを」


「紫草で染めたように美しく照り映える女よ、

もしもあなたを気に入らないなら、

人妻と知りながら、私がどうして恋などしましょう」





額田王は、天智天皇の奥さん、

大海人皇子は天智天皇の弟・・・



えー!不倫の歌!?

と思いきや、二人はもともと夫婦で、

実際は宴会の時の余興として

詠まれた歌なんだそうです。

万葉集の時代はおおらかですね~





この1冊。

とてもすてきな選句と解説。

初冬の夜長にいかがでしょう?