朝、時折見かけるヒーローがいる。

朝の駅の構内。
その人は、片足だけで車椅子を漕いで進む。
両手は途中からないから、漕ぐのは足だけなんだ。

駅のキオスクでその人は財布を店員さんに渡して買い物をする。
店員さんも慣れたもので財布から代金をだして、その人のポーチへ戻す。
お礼を言う笑顔がこれまた爽やかなんだ。

その人は車椅子を通行の邪魔にならない端に寄せ、買ったトクホのコーヒーを飲む。

指のない両腕で缶をおさえて上手に。
どうやってプルタブを開けているのか、今だに謎だ。

謎めいている。
これはヒーローの大きな条件だからね。合格。

朝の混雑した駅の構内。
僕の心の中で彼はちょっとしたヒーローなんだ。

理由はわからない。
でも、もし君がそこにいたらわかると思う。

空を飛ぶだけがヒーローじゃないって。


MIOSIC "Hero"