"GEOX"の靴のかかとの内側の革がすり切れてしまった。
1年以上前に買ったのだがお気に入りの靴である。
こればかり履いていたので、痛みも激しかったのだろう。

"GEOX"は見た目はタダの革靴なのだが、靴の底に小さな穴が空いている。
蒸気は逃がすが、水は通さない特殊シートが挟み込んであって、蒸れない。
メーカー言う所の「呼吸する靴」というやつである。




今まで靴は安いのを買って、履きつぶしていた。
だがこのGEOXは定価20000円!
オレにとってはかなり奮発して買った靴なのだ。

とにかく履きやすい。蒸れない。。
というわけで、今回は思いきって修理に出すことにした。

会社帰りにこの靴を購入した御徒町のリーガルショップに持っていった。
内側の革交換で2500円位らしい。
高いのか安いのかわからないが、純正での修理は魅力である。
が、なんと1ヶ月位かかるという。

それでは、とあらかじめ目星をつけていた別の店に今日の昼休み行ってみた。

ガラス張りの小さな店だ。
白く、店の名前が書いてある。
"Cobbler's Hands"



のぞいてみると、中には古めかしい靴の修理用の機械がおいてある。
ハンチングをかぶった30代後半くらいのお兄ちゃんがひとり。
うつむき加減で靴の修理をしている。
代官山にでもあるような感じのこぢんまりとしたちょっとお洒落な店だった。

御徒町っぽくないぜ!

とりあえず値段だけ聞いてみよう、と思いガラス戸を開ける。

革の匂い。
革フェチとしてはたまらん魅惑の香りを吸い込む。

正面にはビンテージものらしき、古ぼけた"THE WHO"のポスター。



店の中には小さく、音楽が流れている。
うるさ過ぎず、小さ過ぎず、絶妙な音量だ。

泣き叫ぶようなギターのチョーキング。
おお、"FREE”の"THE HUNTER"だ。
しかもあの名盤"FREE LIVE!"バージョン。
し、シブイ・・・・

「オレのことをハンターって呼んでくれよ
それがオレの名前だぜ!

オレの狙うのは
アンタみたいなかわいい娘だけ」
(・・・・くっだらねえ歌詞だなあ)

でもいい曲である。


「フリー好きなんですか?」と聞いて見る。
予想外に質問にちょっと驚いたように「あ、フリー、ご存知ですか」
お兄ちゃんが静かな口調でいう。

気に入った。

ハイ!ここに決定!(全然靴とは関係ない・・・)

ということでお兄ちゃんに値段を聞いて見る。
かかとの内側の革交換で、3000円。夕方の5時には仕上がるという。

ソールも減ってきて、これ以上減るとオールソール交換になるとのこと。
純正のソールにしようか迷うが、ついでなのでこちらもお願いすることにした。
こちらは2000円。

合計するとご、ご、5000円。

下手すると(というか下手しないでも)新しいのが一足買える。
高いなあ・・・やっぱりやめようかなあ。

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靴といえば・・・

昔の上司ですごくお洒落な人がいた。優しい人でオレは結構好きだった。
別にルックスがいいわけでもないのだが、なぜかかっこいいのである。
その人はいつもイタリア製の洋服や靴を愛用していた。

この前靴の底を張り替えたんだよと上司は言った。
いくらしたのか聞いてみた。
両方で18,000円だったかな?と上司は答えた。

「この人完全なアホじゃ!道楽者じゃ!」とオレは思った。

しかし、今ならわかる。
気に入ったものを直しながら大事に使うその姿勢。
なんてかっこいいんだろう、と。


というわけで(どういうわけだ)オレも結局ソールも修理してもらうことにしたのだった。

靴の修理に5000円だぜ!
オレも大人になったなあ!
・・・・と意味不明の感動にひたるのであった。

感動のポイントが、ずれている。
それはわかっているのだが仕方ない(笑)

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さてさて。。。

ベイシング・エイプのNIGOにちょっと似ている
靴屋のお兄ちゃんに説明を聞いているうちに
曲はエキサイティングな"THE HUNTER "から
"FREE LIVE!"のラストナンバー"GET WHERE I BELONG"に変わっていた。




ポール・コゾフの奏でる静かなアコースティックギターのイントロ。
アンディ・フレーザーの太くて暖かいベースが静かに入ってくる。
そして、ポール・ロジャースの哀愁を帯びた歌声。

25歳で死んでしまったギタリスト、ポール・コゾフがもし生きていたら、
CREAMのように確執を乗り越えてフリーは再結成しただろうか?
もうありえない事だけど、想像するとぞくぞくとする。

そうしたらこの曲はどんなアレンジでやっただろう?
フルアコースティックなんていいうのもシブイかもしれない。

弱くて、繊細で、でも強い。
ブリティシュロックのバラードには、
そんな魔法の様な曲が沢山ある。

靴屋のお兄ちゃんのおかげで久しぶりに、この曲を思いだした。
帰り道、早速iPodからこの曲を引っ張り出して聞いた。

うん。いいねえ。全然古くなっていない。
初めて聞いて時となにひとつ感動が変わらない。
すごいぞ。フリー。時を超えてるぜ。少なくともオレの中では!

そうだ。
修理に出したお気に入りの靴が戻ってきたら、
早速その靴を履いてまたこの曲を聴きながら街を歩こう
とオレは思った。(子供かよ・・・・)

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GET WHERE I BELONG / FREE

僕が犯してきた過ちを
償う力を貸しておくれ

僕がかつていたあの場所へ
戻る力を貸しておくれ

こんなにも沢山の人が
満たされない気持ちを持っている

こんなにも沢山の人が
小さな幸せを探し求めている

こんなにも沢山の人が
本当の自分の顔を隠して生きている

僕も顔を隠して生きているんだ
この、さびしい、さびしい世界で

もし心を打ち明ける為に
助けが必要なら、愛しい人よ
僕をただ呼べばいい
僕はすぐ君のそばに駆けつけるからね

君のそばにいるための
理由を一つだけ僕にくれないか

そうすれば僕は君のすぐそばで
夜が明けるまで、ずっとそばにいるよ

僕が犯してきた過ちを

償う力を貸しておくれ



僕がかつていたあの場所へ

戻る力を貸しておくれ


僕がかつていたあの場所へ

僕がかつていたあの場所へ

僕がかつていたあの場所へ


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(今回はいつも以上に適当&省略しまくりでした)


さてさて・・・・・

次は4500円の木製シューキーパーを買うのがオレの野望である。
(たかがシューキーパーに5000円近く払う勇気はまだない・・・)

大人への道は、まだまだ遠いのだった。