いつも通り韓国ドラマは見てましたがブログは久しぶり。
たまった録画を見る中で、“記憶”をテーマにした『その男の記憶法』がとても胸に響き
感想を残しておきたくなりました
その男の記憶法
그 남자의 기억법 MBC
忘却できない男と大切な記憶を忘れてしまった女
ニュースアンカーのイ・ジョンフン（キム・ドンウク）は、過剰記憶症候群という脳の病気で
幼い頃からの過去の日々を、まるで昨日のことのように覚えていて忘れられない。
対する女優のヨ・ハジン（ムン・ガヨン）は
あることをきっかけに
過去の大切な日々を忘れてしまい生きている。
過去の事件と今が絡み合いながら、傷を克服していくラブストーリー。
キム・ドンウク、ムン・ガヨンの演技が良く
ストーカー事件の行方や
サブキャラとの適度なコミカル感が
テンポ良い視聴に繋がりました
イ・ジョンフン演じるキム・ドンウク、
私全然、彼のドラマを見た記憶がないなー？
と思いきや、なんとあの
“コーヒープリンス1号店”のハリム
だったのね
【KNTV】もう一度、二十歳～コーヒープリンス1号店編 ＜Teaser＞
ハリムの頃とは体型が違くて気づかなかったわ
ハリムの頃がかわいすぎる…
でもでも！！
私は『その男の記憶法』のキム・ドンウクの方が
大人の重量感が感じられて好きです
声に厚みがあるんだけど、
今の落ち着きある温かな雰囲気と
すごく合っていて素敵だなぁと思います。
そんなキム・ドンウクの魅力も含めて個人的感想を。
以下、ネタバレも含みます
キム・ドンウクの圧巻の演技
キム・ドンウクの目とその表情がもう絶妙で最高でした!!
恋人のソヨンが落ちてきた瞬間の衝撃や
大切な人を失った悲しみや喪失感
やわらかい優しい表情や雰囲気
かと思えば、ヒュッと北風が吹くような冷たさ
少しずつ温かく変化していくハジンへの視線
過剰記憶症候群により
過去の出来事だけではなく、味わった感情まで
その時と同じように沸き上がり
感じてしまう、感情の複雑さまで
目とその表情で感情が絶妙に表現されていて
ドラマへの没入感がすごく高まりました。
今回のアンカー役のために
実際のニュース番組の原稿で練習し、
アンカーの方に自分が読んだものを聴いてもらって修正という練習をしたそうで、
ほんとのアンカーみたいなリアリティ
落ち着きある口調で確信的に相手に斬り込む様子があだ名通り“ジェントルな暴君”笑
キム・ドンウクのこまやかな感情演技が
ストーリーをリードしたと思います。
記憶へのターニングポイント
全てが記憶され忘れられないジョンフンのことを
一番理解していたお母さんによって、
温かく、ポジティブにしたストーリーラインがすごく良かったです。
お母さんが
ジョンフンことを幼い頃から理解し
温かい愛情で包み
ソヨンの死の時も励まし、心配な気持ちを抱えたまま
最期までジョンフンの幸せを願っていたことが、すごく丁寧に描かれてました。
お母さんがペンをくれた記憶が沸き上がり
辛い気持ちになるけれど、
ペンをとって胸ポケットに入れて歩き出す。
それは
ジョンフンがソヨンを失ってから
誰とも苦しい記憶は作りたくないと
心を閉ざしてきたけれど、
母の死によって、お母さんがどれだけ記憶する自分のことを気にかけ
大切にされてきたのかを知り、
別れの悲しさがありながらも
一緒に過ごした温かい時間や思いを胸に刻み
前を向く、という
過剰記憶症候群であるジョンフンの
記憶との向き合い方がポジティブになったターニングポイントだと思いました。
その頃、ジョンフンは
ハジンへの想いがだんだんと膨らみながらも
色々な迷いで、踏み切れずにいましたよね。
ソヨンへの想いを記憶したまま他の人を想うこと、
ハジンはソヨンの親友であったこと、
ハジンが自分といることで過去を思い出し
また苦しむかもしれない。
そんな中
ジョンフンのお母さんが遺した手紙が
背中を押してくれましたね😌
“今”大切な人であるハジンのそばにいたいと。
記憶との向き合い方が変わり、
自分を気にかけ支えてくれる存在にも
目が行くようになったのだと思います
今を大切に美しく生きる
ジョンフンが折々、ハジンへ伝える言葉は
同じことを繰り返し伝えていて
ドラマのメッセージですよね。
ジョンフンが、ハジンの苦しい過去を知り
偶然、居合わせた授賞式で
ハジンへのコメントを求められていった言葉。
過ぎ去った時間より
これから来る日々がもっと幸せであればと思います
大したことじゃない
忘れるのが当り前じゃないか
記憶というのは元々、時間が流れると色あせて、曖昧になってしまうものだから。
だから、苦しむ必要も無理に思い出そうとしなくていい、
大切なのは今だから
記憶についてこう話すジョンフン自身は
まだ、全く逆の状態…
最初はソヨンのことやストーカーが現れ
ハジンを気にかけていたけど、
だんだんとジョンフンの心もハジンへ近づいていって。
ハジンと一緒にいる今がすごく大切だ
ハジンもそうだといい
過ぎた時間は過ぎた時間でしかないから
ハジンと一緒に来てみたかったという場所。
ハジンの記憶が戻り、テウン父から聞いた
ジョンフンがソヨンの彼氏だった話を思い出す。
別れを切り出すハジンに
全て過ぎ去ったことだ
さらに
ハジンもムン・ソンホに騙され親友を失った被害者であり
誰もハジンを恨む資格はいない
そう言えるのは、
ハジンがソヨンをバイクから助けた際に
足を負傷しバレエを失ったこと、
そのことをソヨンが自分のせいと自責し
ハジンに明るい笑顔が戻ることを願っていたこと、
ストーカーのムン・ソンホが巧妙にハジンに近づき
ハジンはソヨンが彼氏と仲直りできるならと思って暗証番号を教えたこと、
そういうソヨンとハジンの過去と
親友を思い合っていた気持ちを知ってるからですよね。
こうしてハジンも過去の苦しみから癒えていく。
ジョンフンとハジンの関係は
戻って、また別れる。
2年後、ふたりは再会し復縁する
ラストのジョンフンのナレーション
だけどもう僕は
記憶を胸に刻んだまま前に進む方法を知っている。
自分の中に残る記憶が傷跡ではなく思い出になるように、
今この瞬間を美しく生きてゆけばいい
＊＊＊
ジョンフンはハジンに
過ぎた時間は過去に過ぎない、と言いつつも
自分は色褪せないまま苦しんでた。
けれど
ハジンといる今を大切に思うようになり、
ふたりを苦しめていた記憶は
ソヨンの事件によるものなので、
ジョンフンとハジンが
その過去や今のお互いに対して理解していくことで
心の整理ができていく。
ラスト
つらい過去の象徴だった雪を見ても記憶が沸き上がらず
歩き出すジョンフンは
あの記憶が過去になった
ジョンフンがハジンに繰り返し言っていたようになった
人はおそらく
忘れてしまうことより
忘れることができないことの方がつらい。
起きた出来事に心の整理ができない
思い出すと胸が苦しい
でも、それまでに過ぎた時間まで
傷痕にしてしまうのか
大切なものとして胸に刻むのか
私たちは選べる。
であれば
過ぎた時間は大切な思い出として
また前に進みたい、と私は思う。
先のことはわからないけれど
これから来る日々がもっと幸せであることを願う。
そうなるように
自分なりに今を美しく生きてゆけばいい
わかっていてもむずかしいそのことを
あらためて考える機会になりました
色を持つキャラクターと光
ドラマを通して
夜景や景色の美しいシーン、過去に際立つ赤色、
ファッションカラーのきれいさがすごく印象的でした。
韓国記事を見てみたら、監督の演出で
ジョンフンは青、ハジンは黄色
がそれぞれを表すカラーになっていたそうです。
ジョンフンの空間は青。ソヨンは赤かな。
ソヨンとハジン、ジョンフンが初めて繋がるシーンは全てのカラーが盛り込まれ、背景は“初恋”映画。も演出？
ハジンが選んだ黄色のネクタイに変更したジョンフンは
自分の世界がハジンに出会い変わるってことなのかな🤭
ハジンの洋服や部屋に黄色が多いのは、ドラマとしてはめずらしいなぁと思ってました。
4話の後半、カフェで話を交わすシーン、
ハジン側の黄色いやわらかな光と
ジョンフン側のブルーの背景が
時間の経過とともに柔らかく混ざっていく。
背景の色がふたりの気持ちを表し
今後のふたりの関係が表現されてるそうです。
←単に「まだ早朝ね」と思った浅い私
過去と現在が共存するシーンを
光を利用した明暗で繊細に美しく表現。
OST
“나의 오늘이 너의 오늘을 만나” 주영
アコースティックギターの音に哀愁が漂い
静かできれいなボーカルの夢幻的な感じが
過去と現在が共存してしまうジョンフンの世界を表現してるようで、いちばん好きな曲でした。
この「夢幻的」って言葉はOSTの曲紹介にあったんだけど、ぴったりの表現ですね。
“마음의 기록” 양파
私はこの歌のこの歌詞がなんか好きですね。
어떤 이름으로 지난 날이 기록되길 바랄까
どんな名前で過去が記録されることを願うか
エンディングでも良く流れ、聴く度に心が盛り上がりました。
“두사람” SURAN(수란)
原曲はあのソン・シギョン。
上で書いた、光と色彩の美しいシーンがいっぱいのMVです。
私がOST大好きなのは今までも書いてきましたが、今回のドラマは本当にOSTが
最後になりましたが、
ムン・ガヨンが演じるハジンが
すごく爽やかできれいで、可愛かったです！
ジョンフンはそんなハジンの
疑いのない素直さや明るさ、愛らしさに惹かれていったのだと思う。
間違いなくムン・ガヨンだと思います
ファッションの消化力も素晴らしく
ドレス姿は本当に“女神降臨”でした
謝ってばかりの気の毒なテウン先生😂
いつもジョンフンの会社の屋上に現れてたのに、最後はスタジオ入りを果たしました笑
『この男の記憶法』は、楽しいというより
見ていて胸に色々感じることがあって
ほんとに見てよかったなぁと思いました。
制作の方達の伝えたいメッセージがきちんと込められた
とてもいいドラマです