最近、一気見完走したドラマ

『ミスター・サンシャイン』(全24話、Netflix)
 
ミスター・サンシャイン tvN
 
見終わった時、圧倒されていた自分に気づきました。
主演達だけでなく助演に至るまでの俳優の演技力、美術、衣装、音楽(OST)、映像美、演出と
そしてキム・ウンスク作家の脚本など
総合的に素晴らしい大作で、意味あるドラマ
でした。
 
総製作費約430億ウォン、そのうちの70%の約300億ウォンをNetflixが投資したそうです。
客観的に、それだけの投資の価値があると判断されたということですね。
 

 
 
以下、ネタバレもあります。
 
 
このドラマの時代は
1871年の辛未洋擾の頃から始まり
(イ・ビョンホン演じるユジンはこの時、米軍艦に乗船してアメリカに渡る)、
1902~1907年が中心です(日本が韓国を植民地化しようとする動きが本格派。1907年ハーグ密使事件が起こり日本が圧力をかけ、26代王・高宗が退位)。
1895年乙未事変~1910年韓国併合前後、最も活発的に活動した義兵たちを描いています。
 
韓国では、韓国併合以降のことを扱うドラマや映画はあるそうですが、
このドラマの、諸外国が次々に朝鮮に入ってきて干渉し、日本による韓国併合に至るまでの時代を描いたものというのは少ないらしいですね。
 
そのため、視聴者により
「乙巳五賊」「日露戦争」「日韓議定書」などの歴史に関する用語が多く検索されたそうです。
そして、最終回の‘義兵たちの写真’は、韓国では教科書に載っているそうでそれがドラマで再現され、こちらも検索されたり、非常に反響が大きかったそうです。
 
視聴者達がたくさんの検索をしたということは、ドラマを通して歴史に関心を寄せるきっかけになったという点で、とても意味があることだと思います。
 
 
残虐なシーンも多いです。
 
実際に日本がどれだけのことをしたのか
日本側からだけ見ていても
韓国側からだけ見ていても
一方からだけ見ていてもわかりません。
 
今回も視聴者として私も同じように
気になったことを調べたりしました。
時代とはいえショックを受けることも多い。
 
ただ、
『ミスターサンシャイン』は
歴史のドキュメンタリー番組ではありません。
 
ドラマであり、
それぞれの俳優が演じた
ユジンやエシン、ク・ドンメ、ヒソン、工藤陽菜、たくさんの義兵たちの
その時代に
それぞれの人生を懸命に生きた人物たちの話である
と私は思います。
 
 

このドラマの魅力はやっぱり
キム・ウンスク作家の脚本でしょう。
 
この5人はもちろんのこと、
それぞれの周りにいる人たちまで
ひとりひとり特徴的な魅力を持った人物として描かれています。
 
だからそれぞれのキャラのセリフ、
ちょっとしたつぶやきや
まるでピンポン玉のようにポンポン交わされる会話のやり取りに、思わず笑ってしまう場面が多々ありました。
 
お互い憎むことができない、結局仲がいい男3人w
 
『トッケビ』につづき
この時代においても男3人のブロマンス!
 
憎まれ口を叩きながらも、時にお互いを助けたり尊重しあってましたね。
 
ナウリ〜
ユジンと通訳の彼との会話も面白かったグッ
 
韓国ドラマあるある、
主人公×秘書などのコミカルな会話w
 
あとやっぱり
キム・ウンスク作家といえばロマンスですよね。
こちらについてはまた後ほど。
 
 
そして
名演揃いの俳優たち‼︎
 
 
イ・ビョンホンの演技が本当に素晴らしかったです!
 
 
カリスマ性がある
って、こういうことをいうんだなぁと
あらためて思いました。
 
コ・エシン役のキム・テリと年齢差があり過ぎると言われていたけれど、
ユジン・チョイは、アメリカ海兵隊大尉っていう、元々ハードルが高い役ですよね。
非常に厳しい現実と環境の中で生きてきた人なわけで。
 
それで、韓国語・英語・日本語の3カ国語を話せ、かつ、演技力の高い俳優なんてもうイ・ビョンホンしかいないですよね。
 
ユジン・チョイという人の
様々な気持ちや感情、考えを見事にイ・ビョンホンが表情や所作で表現していたと思います。
 
このドラマを没入度高く見ることができたのは、
やっぱりイ・ビョンホンの演技が、このドラマ全体に与える影響度が高かったからだと思います。
 
 
 
キム・テリは、朝鮮最高の名家の令嬢コ・エシン役。
 
もうこの役にぴったりでした!
常に堂々と誇り高く、賢く、ほんとに名高い名家の令嬢であり、義兵でした。
 
銃を撃つ時の鋭さも
ユジンの顔を見る時の様々な気持ちの表情も
切なさも悲しみも
ほんとにすべて熱演でした。
 
以前から映画で活躍していたそうですが
ミスターサンシャインがドラマ初主演だったそう。
ですが、誰を前にしても演技で押されるなんてことはなかったです。
個人的に笑った時の口元がかわいいと思いました。
 
 
今回のドラマで魅力いっぱいだったのが
ユ・ヨンソク演じるク・ドンメ
キム・ミンジョン演じる工藤ひな
 
ユ・ヨンソク、いつもは優しい印象ですが
今回、めっちゃ長髪似合ってるし
鬼気迫る演技がすごい!と思いきや、
ひなと一緒にいる時の優しさとか
なんかもう全て素敵でした‼︎
 
ク・ドンメは情がある人なんだよね
 
 
そして、
今回いちばん優雅で美しく魅惑的な、グローリーホテルの女社長 工藤ひな
そんな彼女の人生が
裏切り者の父親によって日本人に嫁がされ、
朝鮮に戻りホテルを経営しつつ母を探していたけれど、その母も死亡していた。
好きになった男は、命を懸けて他の女を愛していた。
 
ク・ドンメが日本から戻らぬまま行方不明だった間に
ク・ドンメが暮らしていた朝鮮の家を買って
ク・ドンメがいつかひなに言った通り
部屋に絵を飾って。
 
それが彼女の想いかただったと思うと切ない。
 
このドラマでいちばん胸が痛くて
見ていて涙があふれてあふれてしょうがなかったのが、ひなの最期でした。
 
 
ピョン・ヨハン演じるキム・ヒソン
いつも笑っているけれど、心は笑っていませんでしたね。
自分の祖父や父によって苦しめられた人達がいることをわかっており、苦しんでました。
 
ユジンとヒソンは、親や祖父の代に起きた
被害者vs加害者の悲痛な過去があったにもかかわらず、ユジンは自分達の代には持ち込まないという苦渋の決断をしました。
 
新聞社を起業したヒソンに、ユジンが日本からカメラを送っていたのがなんか感動でした。
 

最初に書きましたが
キム・ウンスク作家と言えばロマンスですよね。
 
この激動の時代・義兵の闘いを描いていながらもロマンスを溶け込ませてストーリーをつくってしまうのは、
さすがキム・ウンスク作家。
 
でも
このドラマにキスシーンはないんです。
 
ないのに
こんなに切なくて胸が痛くなるドラマなんて過去にあったかな、
と思ってしまいます。
 
 
想いが叶わない
みんな愛してても叶わない
 
“サッドエンディング”
 
単に終わりだけをみればそうだけど、
ひとりひとりが自分が選択した道を最期まで迷わず進んで行った。
だから、その人自身にとっては“グローリー”でもあるのだろうな。
 
 
さて、
このドラマは衣装、美術、演出、映像美も本当に素晴らしかったです。
 
街灯が灯る場面、綺麗だった。
この庭や瓦塀、エシンの後ろ姿と制服着て馬に乗るユジンの姿がまるでひとつの美しい絵のよう

レトロな建物、インテリア、小物、様々な衣装は
目を楽しませてくれました。
 
ひなの衣装の中でも、↑のコートが特にオシャレで素敵だったな。

ドラマでこのクオリティって…
映画以上のドラマです。
 
 
そしてもちろん
OSTもドラマへの没入度を高めてくれました!!
 
このドラマのOSTは、私の中ではOSTの神化してる
ナム・ヘスン音楽監督キラキラ

 

『トッケビ』 『愛の不時着』 『サイコだけど大丈夫』他、

現在放送中の『青春の記録』のサントラも担当してますね。

 

それとこのドラマ、

OSTの女王 ペク・チヨン歌ってるんですね!

 

ミスターサンシャインで一番好きな曲です。

 

“See You Again”  백지영 (Feat. 리처드 용재 오닐)

あぁやっぱり、ペク・チヨンの声を聞くと

「韓国ドラマ見てる」って感じますね~。

ペク・チヨンの切ない声、最高です

 

次に好きだったのは

“불꽃처럼 아름답게” 신승훈


 ナムヘスンさんは、OSTの構想時からシン・スンフンさんの声が頭に浮かんで、その声を念頭に制作したそうです。

 


この曲の歌詞を見ると

ドラマの中で素敵だなぁと思ったセリフを思い出します。

 

ユジンとエシンが日本に行く際に
洋風な出で立ちで現れたエシンを見たときのユジンの言葉
 
“あぁ、困ったな
私がまた朝鮮を去る
今この瞬間が、私が記憶する最後の朝鮮だ
その最後がこんなに美しいのなら、忘れられない”

素敵だけど切ないシーン。
この歌もそうですね。
 
 
このドラマでいちばん最初に公開されたOST

“그 날 (The Day)”  박효신

ドラマを全部見終わってからこの曲のMVを見ると

なんだろう、すごく悲しい。

終わりを知っているから、こうして始まりを見ると悲しいんだろうか。

 

人は、終わりがわからないから

希望を抱いたりしながら生きていけるのか。


 

人によって、意見も思いも考えも異なるドラマだと思います。

特に日本人にとっては。

 

私は、

キム・ウンスク作家の手腕が遺憾なく発揮されており、そのシナリオを役者達がさらに昇華させた大作だと思います。


それぞれの人が自分が守りたいもののために

命を懸けて最後まで闘ったことに感動しました。


 

ドラマひとつひとつ、自分の思ったことを残しておきたいとは思いませんが

いつかまた見返したいと思うドラマなので残しておきます。