誰でも何かを始めたり興味を持つとき、『きっかけ』の様な思い出があると思う。
そしてそのきっかけからスタートした事に対する情熱や思いは、恐らくスタートしたばかりの頃が一番『活発』だったに違いない。全くの空っぽ状態の『趣味思考シンクタンク』を、様々な手段や方法により情報や知識を吸収し、少しずつ貯蓄しようとした頃…。
おれ自身、80年代にHIPHOPに魅せられ、自分なりではあるが理解と追求、そして継続してきたつもりだけど、音楽というカテゴリーだけで片付けられない文化であるHIPHOPは、KRS ONEの言葉を借りれば『生き物』であるだけに、時代とともに随分進化してきた様に思う。ただ、これだけチャートやメディアに対し影響力があるカルチャーとして成長したHIPHOPであはあるけど…色々な意味で「?」って感覚を持ってしまう瞬間もあるんだな。
それは決してオッサンが昔を懐かしみ感傷に浸り、しまいにゃ「昔はこうだった…」といった愚痴をたれる訳ではない。音・姿勢・商業・表現すべての面で洗練しすぎているっていうか…HIPHOPが本来持っているいい意味でのチープさが無くなったというか…。もっと熱かったんだよね、もっと重かったんだよね、もっと危なかったんだよね、もっと派手だったし地味だったんだよね、もっと、熱かったように思うんだよね。
今の音がキライとかじゃなく、これだけ沢山の音を聞いてきたのに、やっぱりマストっていうのは決まってOLD・NEW・MIDLEといったところのクラシックだったりする。順応しきれてないといえばそれまでだし、時代についてけないんじゃ?といわれればそれまで。でも、俺はそれでも『あの頃』を絶対忘れないし、忘れたくないし、忘れることはない。考えれば、一番HIPHOPがエキサイティングだった時にスタート出来た俺は幸せ物かもしれない。
今日の映画は、HIPHOPに関して「?」と思う時、きまって何度も見直してきた映画『BROWN SUGAR』。
ガキの頃からHIPHOPに親しむ環境で育ったシドニーとドレイ。彼らは大人になり、それぞれ雑誌編集長とレーベルの社員という職につき、違った形ではあるもののHIPHOPという文化に魅せられたもの同志、その道でそれなりの活躍をみせていた。そんな時、ドレイが結婚をすることになったが心から祝福出来ない自分に苛立つシドニー。やがてシドニーにもバスケットボールプレイヤーの彼氏が出来るが、そんな中、ドレイが本来のHIPHOP道に反すると、今の仕事を辞めてしまう…。
実際に現行のシーンとリンクしている話で、ラッセルシモンズなんかも実在の人物として登場するし、シドニーが編集長の雑誌は『XXLマガジン』であったり…著名なアーティストも数多く出演しているので、誰が実際の自分で、誰が役を演じてるのか解かんなくなるくらいの豪華さ。ま、実際はMos DefとQueen Latifahは『演じて』ました
(笑)
オープニングで現在のシーンを代表するアーティスト達が、それぞれ影響を受けたオピニオンリーダー達への賛辞を述べている。ヒップホップに惚れたのは…と振り返るのはKOOL・G・RAP、PETE ROCK、DE・LA・SOUL、BLACK THOUGHT、JERMAIN DUPRI、COMMON etcといった面子。彼らが1970年台後半を振り返り、バンバータやGMF、メリー・メル、シュガーヒルギャング等の名前を挙げ、自らのキャリアの『きっかけ』と話す姿に心打たれる。
ダグ・E・フレッシュのビートボックスにのせてスリック・リックと路上バトルなんて、贅沢なオープニングなんだよ!ありえねえよ!あざ~っす!!!!
賢くて上品だけど、気取ってない。艶っぽいけどスレてない…そいつが『BROWN SUGAR』、まさにHIPHOPそのもの!だろ?新しいものを吸収する事は、決して古いものを排除していく作業じゃない。時には判断し、比較も悪くない。ただ、その『結果』を『発展』に繋げていきたいと、この映画を見る度にボキちゃん強く思うのであった。