種山ヶ原(遠き山に陽は落ちて)宮沢賢治春はまだきの朱(あけ)雲をアルペン農の汗に燃し縄と菩提樹皮(マダカ)にうちよそひ風とひかりにちかひせり。四月は風のかぐはしく雲かげ原を超えくれば雪融けの草をわたる。繞(めぐ)る八谷に劈靂(へきれき)のいしぶみしげきおのづから種山ヶ原に燃ゆる火のなかばは雲に鎖(とざ)さるゝ。四月は風のかぐはしく雲かげ原を超えくれば雪融けの草をわたる。