僕の愛しいアルマへ
この手紙が届いたということは、僕にとって喜ばしいことであり、そして悲しむべきことでもある。
あのサングラス野郎のせいで、君と電話で話すことすら出来なかったんだ。
アルマ、どうか落ち着いてこの手紙を読んでほしい。
僕がある製薬会社の研究所にスカウトされ
そこに移ったことは前に話したと思う
実は先月その研究所で事故が起こって、研究中のウイルスが漏れ出してしまったんだ。ウイルスに感染した僕の同僚はみんな死んでしまった。
いや正確には死んでいないかもしれない。
何故なら、彼らは今も歩き回ることが出来るし、現に何人かが今、僕の部屋のドアを叩いている。
でも、彼らの瞳にもはや知性の光はない。あの呪われたウイルスは人間の脳から、人間らしさの全て、愛も喜びも恐れもジョークも永久に消し去ってしまうんだ。
そしてアルマ、君と過ごした日々さえ。
そうなんだ、僕は感染している。
あらゆる手を尽くして見たが、症状の進行を数日遅らせるのがやっとだった。
君が僕の中で日に日に失われていくのが、僕には何より耐えられない。
だから僕はこのまま生ける屍になるよりも安らかな死を選んだ。
一時間後には、僕は二度と覚めることのない眠りについていることだろう。
君がこの僕の決断を解ってくれることを切に願う…さようなら
君を永遠に愛する
マーチンクラックホーン
