ある明け方のことだった…。どういうわけか気がつくと
オレは地元の私鉄の駅にいた。そこで電車を待っていた。しかし
オレがいたのはホームではなく、「線路のそば」だったのだ…。
そこでじっと…電車が来るのを待っていた。
もう一人、線路のそばで電車を待っている若い女の人がいた。
ピンクのニット帽をかぶり髪は金色。
細身のブラックジーンズに「Drマーチン」のいかついブーツを履いている。
そして、どことなく物憂げな表情は間違えようがなかった…。
『川村カオリ』だ…!何でこんなところにいるんだろう…?
思う間もなく、迷わずオレは声をかけた。
確か、お互いの履いているブーツの話題から話しかけたのだ。
(オレはレッドウイングの「アイリッシュセッター」を普段から愛用していたからだし
そのときも履いていた)
そんなに話しが弾んだというわけではないが…
少しずつ打ち解けて…世間話のような話題を交わしながら、
二人でずっと電車を待っていた……。
オレは彼女に「今から何処に行くの?」と尋ねた。
彼女は「これからロシアに帰るの…」といい、また物憂げな表情を見せた。
もう少し詳しく聞いてみると、この電車に乗った後、寝台列車に乗り換えて
ロシアに帰るのだそうだ……。一人でか…。そんな遠くに行くのに
誰もそばにいないな…。ちょっと寂しいよな…。
そう思ったオレは、取り急ぎの用事もなかったので…
「お見送りしてあげるよ…」と、言うと彼女の表情がほんの少し明るくなった。
二人の目の前に、赤い電車がやって来た…あれ……この電車、
何年か前に「廃盤」になったヤツじゃないのか……?とは後で思ったが…
開いたドアから電車によじ登り…オレと「川村カオリ」は並んで腰かけた。
電車の中は、ごくありがちな風景だった。普通に人が乗っている。
規則正しいリズムを刻み、電車が走り出した。
ロシアに帰ると言ってた「川村カオリ」は、しっかりと服を着込んでいた。
「ロシアはとっても寒いはずだから、風邪ひかないようにね」とオレが言うと、
彼女は黙って、頷いていた。
そのあと二人は、会話らしい会話をしなかったのは覚えている……。
電車は…どこをどう走っていたのだろう…?一向に停車する気配がないまま
時間だけが過ぎてゆく…明るかったはずの窓の外は気がつくと
すっかり夕闇に包まれていた。そして…ゆっくりと電車が停まった。
今度はちゃんとしたホームだ。反対側の先の方に、彼女が乗る
寝台列車が赤いランプを灯して乗客を待っている。
「この列車…なんとなく見覚えがあるな…」そんなことをぼーっと考えていたら
その列車に大勢の人が、いそいそと乗り込んでいく。
ピーッ! 出発の合図が鳴った。
オレの横を「川村カオリ」が駆けてゆく。サヨナラを言ってるヒマはなかった。
もう見えなくなった彼女の背中に、オレは大声で言った。
「気をつけて帰れよ…!!」……と。
列車の赤いランプが遠ざかる…そして「空を」駆け上がって行った。
「…………銀河鉄道。」
そこで、目が覚めた。…すべて夢だったのだ……。そりゃそうだ。
「地元の駅」に、亡くなったはずの川村カオリがいるはずがない。
オレの枕元には、彼女の遺作となったアルバム「K」と、彼女の本
「復活アナスタシア」が置かれている。
でも、ライブにも…そして献花式にも行けなかった、辛うじてファンの端っこに
引っかかってるような、こんなオレのようなヤツのために、ロシアから
わざわざ彼女が、夢の中まで会いに来てくれたとしたら……
この上なくうれしい…な。
ありがとう…川村カオリ。
「国境線を越えて」…会いに来てくれた彼女に感謝…。
また会えるとしたら……(会えるよね)
今度は、楽しい話しをたくさんしよう。
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ブログネタ:もう一度見たい夢
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